【天皇賞(春)2017予想】2強決着にはなりそうにない?紐に入れたい穴馬は
日本で最も格式高いレースと言えば何になるだろうか?ホースマンの夢ダービーか、競馬の祭典・有馬記念か、日本初の国際GⅠジャパンカップか。人により回答は異なるかもしれないが、ここ日本でこの名を冠する以上は、私はやはり天皇賞こそその座に相応しいのではないかと思う。年間二本立てという特別感も他のレースには無いものだ。その春の開催がいよいよ迫ってきた。かつては東西の同距離で開催されていた春秋の天皇賞だが、秋は現在は中距離の王道として定着。そしてステイヤーの大目標として君臨するのが春の天皇賞だ。
歴代勝ち馬には長距離GⅠの双璧となる菊花賞馬の名前も多く見受けられるが、一方で天皇賞(春)は『波乱の多いレース』ということでも知られる。事実1番人気が尽く沈んでおり、1番人気最後の優勝は11年前のディープインパクトまで遡ることになる。今回人気を背負うのはそのディープインパクト産駒サトノダイヤモンドと、ディープインパクトの兄ブラックタイド産駒キタサンブラックだ。現段階では世論を見てもサトノダイヤモンドへの期待感が大きいか、いずれにせよこの2頭のどちらかが1番人気のジンクスを背負ってレースをすることとなる。
ジンクスはジンクスであり、決して約束された結果ではない。いずれ打ち破られるはずのものでしかなく、それが今年であってもおかしくはない。現に2番人気は優秀な成績を残している。人気などという水物で予想を図るのが間違いかもしれない。しかしながら、超常現象などではないにしても人知の及ばないところで結論づいているものなのかもしれない。ここで言いたいのは1番人気が必ず飛ぶということではなく、この2頭での決着になる可能性は低いのではないかということだ。荒れに荒れてきた過去がある以上、全く無視するのは危険だ。そこで、紐に入れたい穴馬として、現在不調の最中にある2頭を見てみたい。
出口が見えない不振にいるワンアンドオンリー
定年引退が迫っていた名伯楽・橋口弘次郎元調教師の悲願を叶えた2014年の日本ダービー馬ながら、その次走の神戸新聞杯の勝利以降、長いトンネルに入って抜け出せないワンアンドオンリー。明けて古馬になった2015年以降は、海外競馬であるドバイシーマクラシックの3着が最高であり、近走ではGⅠどころかGⅡでも掲示板を外すことが多くなってきている。完全にスランプに入り込んだまま抜け出せていないでいると見て良い。とは言え、着順ではいいところなしに見えても、着差で見れば悪くないレースもあり、末脚の切れる所を見せる場面もある。
天皇賞(春)は、ワンアンドオンリーのこれまでの豊富なキャリアにして初出走となるため、京都競馬場の3200mが向くか向かないかは、正直未知の部分も多い。ただ、菊花賞や前走阪神大賞典のレース振りを見る限り、向いているとは到底言えないのは確かだろう。
一方で血統的には、父ハーツクライの産駒は、天皇賞(春)では勝ち切れないまでも、馬券圏内(3着以内)に、カレンミロティックやフェイムゲーム、ウインバリアシオン、シュヴァルグランと言った様に、人気に拘らずよく入ってきており、人気薄程要注意という側面はある。
レコード勝ちの皐月賞から一転不調に陥ったディーマジェスティ
2016年の皐月賞をレコードタイムで駆け抜けたディーマジェスティ。8番人気ながら2着のマカヒキに1馬身以上の差をつけて勝ったその力に、今後の活躍を期待した競馬ファンも多いのではないだろうか。しかし、その後は東京優駿で3着、朝日杯セントライト記念で1着とするも、菊花賞で4着、ジャパンカップでは13着、休養後の3月の日経賞でも6着と未だ調子を回復させられぬまま、今回の天皇賞(春)へと望むことになる。
ディーマジェスティの調子の悪さには、様々な推測が立てられている。鞍上の蛯名騎手の調子や輸送に関する問題、しかし一番言われているのは距離適性の問題ではないだろうか。ディーマジェスティが勝利しているレースは、いずれも2200m以下のものばかり。2400m以上になると最後の叩き合いで伸びることなく負けてしまう。そして、天皇賞(春)はディーマジェスティにとっては過去最長の3200mということもあって、この距離に関する心配というのはどうしても拭いきれないのだ。
上記の2頭はともに天皇賞(春)も芝3200mの距離も初体験となる。波乱決着の多い天皇賞(春)、そしてガチガチの2強対決という構図から、あえて素質馬の復活という点に注目してみた。年度代表馬キタサンブラックに勝利し、前哨戦の阪神大賞典も勝利したサトノダイヤモンドだが、有馬記念時にあった斤量の有利は古馬となった今はなくなり、1番人気になりそうなだけに、今年も例年の再現がありうる。人気薄の台頭にはぜひ気をつけたい一戦になる。