【フェブラリーS予想2019】藤田菜七子✕コパノキッキング、勝つ可能性はあるのか?
今年最初のG1「フェブラリーS」に出走する予定であるコパノキッキング(セ4、村山明厩舎)に藤田菜七子騎手が騎乗することが先週明らかになり、JRA女性騎手初のG1騎乗が決定したということで各メディアで大きな話題となっている。
昨年はJRA年間で27勝し、リーディングは全国42位、関東では18位にランクインし、同期6名の中ではリーディング30位となった荻野極騎手に次いで2番目に高いリーディングにランクインした藤田騎手。筆者はフェミニストではないが、女性云々を抜きにしても同期の中では優秀な成績を収めていると言っていい。
同期6名の中ですでにG1出走を果たしているのは先週100勝目をあげたばかりの荻野極騎手と、豪州へ長期遠征していた坂井流星騎手の2名だ。坂井騎手は遠征していたため昨年はほとんど勝利数を伸ばすことができなかったが、32期生の中ではやはり荻野騎手と坂井騎手の2名が将来の有望株として注目をあびている印象がある。
しかし、そんな期待の2人でも、荻野騎手は阪神JFで最低人気のスタークォーツに、坂井騎手は朝日杯FSで最低人気のコパノマーティンに騎乗しており、いずれも2歳G1で最低人気の人気薄に騎乗している。これに対して藤田騎手が参戦するのはダートの一線級の古馬が揃うフェブラリーSで、騎乗する馬も重賞2勝の実積を持つコパノキッキングと上位人気が予想される立派な有力馬だ。他の同期2人に比べるとかなり良い馬がまわってきたと言っていいだろう。
ここまでの有力馬にデビュー4年目で重賞も未勝利の騎手を乗せるのは如何なものか?という批判も聞こえてきそうだが、鞍上でオッズが下がるなら嬉しいという声もありそうだ。個人的には逆にいっそう人気しそうな気がしているが、それはそれで過剰人気だと喜ぶファンもいそうである。
2015年に引退したもう一人の藤田、藤田伸二元騎手はかつて「あいつがG1に乗れるわけねー」、「客寄せパンダだ」と彼女を批判したが、競馬はJRAという企業が興行を行う立派なビジネスだ。収益が見込める大舞台で話題性のある騎手を採用することはむしろ大歓迎だし、馬主のDr.コパこと小林祥晃オーナーとしても、自身のブランディングや著書の宣伝効果を考えれば、フェブラリーSの賞金以上の効果だって見込めるかもしれない。長年JRAに噛み付いてきた漢・藤田ならそのくらいのことは分かるだろうし、分かる人間だからこそ、そうしたしがらみや裏の事情に負けずに、素直に「頑張れ」と同じ名字である藤田騎手を応援できないものだろうか。
さて、話がそれてしまったが、最後に馬の展望をしておこう。コパノキッキングは今回が初のマイル戦となる。前走同馬の手綱を握ったマーフィー騎手はキッパリと「1200mの馬」とコメントしており、やはり距離延長がカギとなる。鞍上の問題より、むしろ距離の方が懸念すべき要素だろう。前走の根岸Sではスローペースで脚も溜められたが、ペースが上がるフェブラリーSでは厳しくなる可能性も高い。いずれにせよ、能力以外の部分でも注目を集めそうな馬なだけに、同馬の評価についてはまだ熟考する必要がありそうだ。