生産者・馬主さん含め関係者が何より願うこと。それは「とにかく1つ勝つこと」です。サラブレッドは走るために生まれてきた、なんていうCMも昔ありましたが、当の馬たちはそこまで考えて走っているかは馬のみぞ知るといったところ。やきもきしているのは人間のほうなのかもしれません。
とはいえ、家を1件購入できるレベルの価格がついてしまうこともざらなサラブレッド。1つ勝ってくれないとクラシックだの重賞だのといった話にもなりませんし、そもそもそのステージにすら立てません。
そういう意味で生産者サイドからすれば安心して種付けできる、かつオーナーサイドからすると産駒を安心して購入できる偉大なるお母さん。それがクロウキャニオンです。父はフレンチデピュティ、母はクロカミという血統です。
重賞活躍馬のクロカミが母ということもあり、現役のころも期待された馬ではありましたが、結局500万下も勝利できずに引退しました。しかし、繁殖生活で目覚ましい成績を発揮しております。現在までで産駒が8頭デビューしていますがその8頭すべてが中央で勝ち上がっているんですね。
最初の産駒はキングカメハメハをつけて誕生したキラウエア、その後はすべてディープインパクトをつける徹底ぶりで、ボレアス、マウントシャスタ、カミノタサハラ、ベルキャニオン、パラダイスリッジ、ラベンダーヴァレイと続き、今年の2歳馬クリアザトラックも無事に京都のメイクデビューを芝1600mで勝利し、敗れはしましたが朝日杯フューチュリティーステークスでは抽選を突破し3番人気に支持されました。
クラシック勝利こそないものの、産駒のクラシック参戦率はきわめて高いといえるお母さんといえます。
次の2015年生まれの産駒もディープインパクト産駒ということで、母父フレンチデピュティとディープインパクトとの相性の良さと、重賞戦線で活躍している兄・姉たちが単発ではなく続いていることもあり、貴重なディープインパクトの種付けも、この成績で打率であれば安心、納得の交配でしょう。
クリアザトラック、ラベンダーヴァレイ、ベルキャニオンの3頭が現役で走っています。果たして今後繁殖生活を何年続けられるかはわかりませんが、産駒すべてJRAで勝利、という偉業を達成できるかも注目の名牝です。