アドマイヤデウスは、母の母がアドマイヤラピス、そして父がアドマイヤドンという生粋のアドマイヤ血統である。競馬ファンにはおなじみの冠号アドマイヤはGⅠをはじめとして重賞レースをいくつも制しているが、意外にも有馬記念の制覇はまだない。それだけに、馬主がアドマイヤデウスにかける期待はとても大きいだろう。
そのアドマイヤデウスは現在重賞2勝の成績。その内容は2015年の冬から春にあげた日経新春杯と日経賞のGⅡ連勝だ。この時はいざGⅠ獲りの勢いを確かに感じさせたのだが、距離が合わなかったのか次走の天皇賞・春では3番人気に支持されながら15着と大敗してしまった。この大敗で、好調だったアドマイヤデウスの歯車はややかみ合わなくなってしまう。
たて続けにGⅠを使われるも、良いところなく敗退。その中には昨年の有馬記念7着も含まれている。これは不調の長いトンネルに入り込んでしまったかと思われたが、今年は復調気配が見えてきている。京都記念と阪神大賞典では、地力を見せての連続3着で、久々に馬券圏内に好走した。まだ昨年の重賞連勝時に比べれば、完全復活とまではいかないのかもしれない。だが、完全な谷間は抜け出したと見てもいいだろう。
立ちはだかるGⅠの壁、復調気配が見られる今年なら!
ただし、過去の戦績を見るとハッキリとGⅠに壁があることがわかる。GⅠ以外では逆に馬券圏内を外したことがないが、GⅠでは掲示板へも載ったことがない。それでも、10月の京都大賞典ではキタサンブラック相手にクビ差2着まで肉迫している。GⅠでの成績不振は力不足とは別の要因と見たほうがいいかもしれない。
とは言え、勝てない癖を克服したわけではなく、現段階では穴馬という評価が覆ることはないだろうが、穴馬の中では面白い存在と言えるだろう。
近走はずっと手綱を取り続けている岩田騎手の存在も頼もしく、アドマイヤムーンやアドマイヤジュピタとのコンビで大レースを制している。また、アドマイヤエイカンでの重賞勝ちも記憶に新しい。こうした馬主との信頼関係は、有馬記念のような大レースでこそ勝負強さにつながる。アドマイヤデウス岩田コンビには、暮れの中山で波乱の立役者になってもらうことに期待したい。