今回は「新馬戦で大勝負はするべきか?しないべきか?」ということについて書きたいと思います。新馬戦とは厳密に言うとクラス編成では未勝利クラスで、いわゆる競走馬のデビュー戦です。なのでほぼ全ての馬がこの新馬戦を使ってきます。
競走馬にとって初めての公式戦ですから、競馬の予想において重要な判断材料の一つである「前走成績」というのがこのレースにはありません。出走する馬がどんなレースをするかは走ってから出ないと分かりませんし、どんな条件が得意なのかも分かりません。血統や馬体からある程度の予測は出来るかもしれませんが、情報量が少ないですから信頼度は低くなります。
新馬戦を買う時におさえておきたい”3つ”のポイント
そんな情報量が少ない中でも、レース当日になればしっかりと人気がある馬とそうでない馬に分かれます。新馬戦の人気の基準となるのは大きく分けると3つあります。「血統背景」と「調教の動き」、そして「パドックの動き」です。これは新馬戦を買う時におさえておきたい重要なポイントでもあるので、以下で解説していきたいと思います。
まず「血統」と「調教内容」はレース前から仕入れることができる重要な情報です。むしろこれくらいしかありません。厩舎や関係者によるコメントなどもありますが、リップサービスだったり大げさに表現している場合も多いので情報としての質は低いです。
それはともかく、良血馬で調教でしっかり動いているようならまず上位人気なるでしょう。未来のG1ホースとして期待がかかる高額な良血馬なんかは人気をよく集めますが、未来のスターのデビュー戦となればぜひチェックしておきたいですし、新馬戦からあっと言わせるような勝ちっぷりを見せてくれる馬も実際におります。
しかし、勝負するとなると話は別です。見ている分には面白いですが、馬券の買い方はやはり慎重にならざるを得ません。少額ならまだしも、ここで大勝負するにはあまりにも危険すぎます。増やそうと思っているのなら新馬戦での勝負はやめておいた方が賢明。1番人気が全く見せ場もなく惨敗する事など日常茶飯事ですし、ノーマークの馬も当たり前のように絡んできます。
デビュー戦ですから馬も人間同様に精神状態が安定していない場合が多く、気持ちが高ぶってイレ込んでしまったり、たくさんの観客を前に恐縮してしまってビクビクしてしまうなど様々です。馬は人間以上にセンシティブな生き物ですから、どんな良血馬でもいつもと違うまわりの空気感などで状態が不安定になることがあります。
そこで重要となってくるのが「パドックの動き」です。これは事前に仕入れることが出来る情報とは違って、リアルタイムに仕入れることが出来る情報です。個人的には新馬戦においてはとくに重要な情報だと思っております。新馬戦はとく身体の仕上がり具合の違いが如実に現れるので、一般のレースに比べて力差の見分けがつきやすいのが特徴としてあります。パドックでどんな状況下でも悠然と歩いているようなら少なくとも減点対象にはなりませんし、逆に明らかにイレ込んでいる馬がいれば減点できます。
新馬戦では、G1を勝てるような素質馬も地方競馬でも走らないような馬も一緒に走ります。そういう意味で新馬戦は一番力差が出るレースと言えるのではないでしょうか?パドックの見方を勉強したいという人には、まさに新馬戦はもってこいのレースかもしれませんね。
結論、新馬戦は”大勝負をするレースではない”
いずれにせよ、新馬戦で大勝負をするには本当の意味で馬を見る目を鍛えていないと難しいと言えるでしょう。基本的に新馬戦はレートを下げて楽しむレースだと思っております。上記でも記したように新馬戦は各出走馬の力差が出やすいので分かりやすいレースという一面があることも確かではあるのですが、それ以上に不確定要素が多く、リスクの高いレースであることも確かです。
私の中では新馬戦は勝負するレースではなく、どちらかと言うと勉強するレース。情報を仕入れて予想をする、馬の能力差を見極める、馬券の買い方を考える、不確定要素・リスクを考える、といった競馬の基本が出来ているかどうかが試されるレースだと思っております。競馬を覚えたいという競馬初心者の方や、今一度自分の予想力を改めて見直したいというファンにとっては新馬戦はちょうど良いレースだと思います。そして購入の際は、くれぐれも立ち直れない金額で勝負することは控えるようにいたしましょう。