シュヴァルグランといえば2015年に大活躍した馬としてみなさんの記憶にあると思います。ラブリーデイ、モーリスと上がり馬が続けざまに活躍を見せていた時期でもある2015年秋に立て続けに勝利をあげたことから同様に脚光を浴び、続くレースではクリストフ・ルメールが自ら鞍上を名乗り出るほどの馬にまでなりました。ルメールの2度目の騎乗では2位という結果になり、それからは福永祐一騎手が乗り続けています。
人気に火がついたのも単なる上がり馬ブームだけではなく、姉にはジェンティルドンナと死闘を演じ、ヴィクトリアマイルを連覇したヴィルシーナがいることからデビューの段階で素質の見込まれていた馬がようやく開花したからです。しかしながら、あと一歩のところまでいくものの、G1制覇には未だに至っていません。そうこうしている間に昨年の秋は妹のヴィブロスが姉の無念を晴らし秋華賞を勝利、先月には海外G1・ドバイターフでも優勝しました。
肉親が走れば全員走るというわけではありませんが、シュヴァルグランの力がG1に及んでいないというわけではないでしょう。昨年はG1に4度挑戦し2度の3着を得ています。そのうちの1回が天皇賞(春)の舞台。そこから進歩したのか、周りの成長において行かれているのかが問題となります。姉妹の活躍にどうしても見劣りがしてしまいますが、前走では今回2強の一角でもあるサトノダイヤモンドに肉薄する2着となり、このまま終わってしまう馬ではないところを見せつけました。
馬場状態が良いほど好成績を残しているという傾向もあるため、当日の天候・馬場状況には是非ご注目ください。シュヴァルグランの入った3枠は過去10年でも1枠の次に成績を残している好枠です。懸念点は長距離レースはジョッキーとの相性も非常に大事であり、春の天皇賞未勝利の福永騎手がどれだけシュヴァルグランをエスコートしてあげられるかがカギとなるでしょう。姉妹の勝利したG1の距離を見ると1600~2000ということで、シュヴァルグランにとっても適距離はもう少し短いのではないかと言う見方もあります。実際に成績を残してきているのはクラシックディスタンスから先ではありますが、本格化以後は短距離で使われたことがないのもまた事実。昨年の有馬記念で6着だったことに対し、福永自身が「悔いのない仕上げだった」と話したことからも、いささか噛み合っていない感じはありますが、彼のこの馬に対する思い入れはかなり強いようなので、そのあたりの闘志を信じたいところです