外国産馬というのは、年季を積んだ競馬ファンでもなかなか評価が難しいものだ。血統的に近い競走馬が日本に少ないため、どれだけ海外で実績のある血統だとしてもいざ走ってみないとわからない部分も非常に多い。ベストアプローチもそんな外国産馬の一頭で、東京優駿において有力な穴馬として注目されている牡馬だ。
馬主は、ドバイ首長国の首長にして、アラブ首長国連邦の副大統領と首相も兼任するシェイク・モハメド氏。馬主本人も凄い方だが、ベストアプローチの血統も非常に興味深いものとなっている。ベストアプローチの父ニューアプローチは英ダービー他GⅠで5勝を挙げた名馬、半兄のシンコウフォレストは外国産馬として日本にやってきて高松宮記念を勝利している。また、自身の半兄レックレスアバンドンも英・ミドルパークS、仏・モルニ賞とGⅠを2勝しており、母系にも優秀な遺伝子が組み込まれている。血統的には十分名馬の素質を秘めているのはおわかりいただけることだろう。
一方で過去の戦績を見れば勝利はデビュー戦の新馬戦のみの6戦1勝とGⅠレースへ出走するにおいてはいささか見劣りすることは否めない。しかしながら、馬体や血統、過去のレース展開を見る限りではその潜在能力については他の上位人気馬に負けずとも劣らないと感じさせるに十分過ぎる程材料が揃っている。
特に注目したいのがその末脚。過去のレースでもその末脚の鋭さは群を抜いており、結果的に勝利には届かないまでもその末脚で他の強豪馬を脅かしてきている。前走の青葉賞でも1着のアドミラブルに最後の追い比べの末惜敗したものの、アドミラブルに進路を塞がれ若干ブレーキがかかったのと、優先出走権を得られる2着を確信して不必要な追い上げを嫌った結果にも見えた。東京優駿でもその末脚には期待が高まる。
ダービーにおいても過去のレースと同様のパフォーマンスが期待出来るだろう。今後の調教結果にも注目していきたいが、気になる点としては気性が荒く、落ち着きが無いということ。レース開始前に入れ込んでスタミナを使ってしまうことも考えられるので、当日のパドック状況はチェックしておきたいところだ。
やはり成績が伴っていないため注目度は低く見られているところではあるが、それでもこの血統の可能性を無視し、ハナから切って掛かるのは早計だろう。枠順・展開によってはその末脚で勝つことも期待できるためぜひ注目してもらいたい1頭だ。