牡馬クラシック第一冠の皐月賞で僅差の4着に入ったクリンチャー。キャリア4戦での勇躍日本ダービー挑戦は、デビュー戦が大差負けであることを考えれば、かなり効率よく行っているとも言えよう。
当馬のキャリアにおいて、特筆すべきレースはまずオープン格上げ挑戦であった3戦目の「すみれS」圧勝が挙げられよう。番手から上がり最速で後続を0.7秒突き放したレース振りは、相手関係を考えてもかなり強い競馬だった。
そして重賞自体が初挑戦だった前走の皐月賞では、並み居る強豪相手に4コーナー先頭で最後まで粘ったという点が、かなり評価出来る内容だった。勝ち馬アルアインとの着差も0.3秒差なら、日本ダービーでも十分に馬券になっておかしくないはずだ。
また、これまでのクリンチャーの持ちタイムは世代トップクラスとしては不安のあるものだったが、いきなり2000mで1分58秒台前半に対応出来た点は、これから先のキャリアにおいて問題なく一線級と戦っていけるだけのものを見せたと言えるだろう。
”なだれ込み作戦”がハマるかも?展開次第では主役食いも?!
脚質的には逃げも出来る先行馬で、上がりタイム的にもキレは余りない、いわゆる「なだれ込み」を得意とするタイプ。その点において、瞬発力が必要となる昨今の日本ダービーのレース展開では、若干不安がないわけではないが、展開的にそう速くなる要素もなく、ある程度前に行けるクリンチャーにとっては有利となる要素もある。
血統的には、父がディープスカイ、母父がブライアンズタイムと、字面だけ見れば2400mという距離も全く問題なく、2200mのすみれSでの圧勝振りを見ても、大方不安はないと思われる。
ただ、短距離志向の強いダンジグのインブリードがある点や、近親馬に活躍した馬が余りおらず、数少ない活躍馬であるワキノブレイブがスプリンターであったことなど、全く不安がないわけではない。また、キャリア自体は少ないが、年明けデビューであることも当馬を強く推せない点となっている。
全体的な評価としては、「頭」は余り考えられないが、先週の東京が前残り傾向にあったことなどを考えれば、展開次第では主役食いもありえそうな馬とも見てとれる。いずれにせよ、馬券圏内になだれ込みは考えておきたい1頭と言えるだろう。