調教師は馬の仕上げを受け持つ仕事ですが、放牧した後の過ごし方に口を出す権限はありません。
そういった意味では、放牧先でどのような調整、調教を積んで厩舎に戻すかというのは、最後の仕上げ同様に非常に大事な要素と言えそうです。
今年に入って勢いがあるのが、浦河・軽種馬育成調教センターです。
通称BTCと呼ばれていますが、今年は利用している育成馬が絶好調といえる内容をこれまで残しています。
記憶に新しいのが先月ドバイ・メイダン競馬場で行われたドバイターフを制したバンサラッサ、人気薄での逃げ切りで、坂井騎手に海外重賞初制覇もプレゼントしたゴドルフィンマイル勝ち馬のバスラットレオンの2頭はともにBTCの育成馬です。
利用馬の海外G1制覇は、2016年にイスバーン賞を制したエイシンヒカリ以来の快挙となっており、日本国内の重賞でも、フェアリーS勝ち馬のライラック、ダイヤモンドS勝ちのテーオーロイヤル、ドバイターフの前哨戦として選んだ中山記念を制しているバンサラッサ、皐月賞トライアルのスプリングSを制したビーアストニッシド、そしてダートではマーチS勝ち馬のメイショウハリオと、勢いがいつまで続くのかも注目です。
BTCは農水省・日高種畜牧場の跡地に1991年に建てられ、1993年から運用が開始されています。
施設の総面積は1500ヘクタールと広大な面積になっており、冬季でも利用できる1000m直線の屋内ウッドチップの馬場や1600mある坂路もあり、充実した設備となっています。
ノーザンファームなど大型の牧場では天栄が有名ですが、ほかにもこのような施設があることから、いろいろな可能性を秘めているのが日本の競馬の馬産、育成の魅力といえるかもしれません。