クラシック戦線で人気になりながらも無冠で終わったトゥザワールドでしたが、昨年の有馬記念ではジェンティルドンナの2着に入り今年の飛躍が期待されていたところで引退、種牡馬入りのニュースが飛び込んできました。
春先はオーストラリアに参戦し、G1のザBMWで2着に入る健闘を見せましたが、4月のクイーンエリザベスステークスでは惨敗。あんなに負ける馬ではないはずなので、レース中に故障していたのではないかと思われます。その後、くっけん炎の診断がくだり療養中でしたが、キャロットクラブから引退し種牡馬入りの発表がありました。
血統を確認しておきましょう。父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリー、母の父サンデーサイレンスと父、母父とも日本では全盛と言える血統です。人気血統だからこそG1未勝利でも種牡馬入りできたともいえますが、これが逆にアダとなるのではないかという見解もあります。優駿スタリオンでの種牡馬入りが内定していますが、とにかく苦戦しそうなのが花嫁探し。
言わずとしれたサンデーサイレンスの血、そしてエルコンドルパサー含め日本に根付いているキングマンボの血をともに含んでいることもあり、それ以外の血統の相手と種付けをしないとなかなか難しい印象ですが、それも踏まえての種牡馬入りなんでしょうから、杞憂に終わるのかもしれません。
古くは危険な近親配合といわれたエルコンドルパサーが大成しました。当時、エルコンドルパサーの配合はクロスが何本もあったこともあり、欧州など海外では「危険すぎる」と言われたそうですですが、結果はみなさんご存知の通り。大きな故障も特になくフランス遠征まで難なくこなし凱旋門賞では日本馬最高の結果を残し、まさに無事是名馬といえる走りを見せてくれ、海外でもニックスやクロスが改めて見直されたとも言われほどの影響を残しました。
そう考えると、クロスを嫌がられやすい反面、挑戦的な配合を可能とするトゥザワールドは新たな可能性を秘めた種牡馬ともいえますね。