型にハマると強い馬、という形容は大体が逃げ馬か追い込み馬に使われることが多いようです。そして、強いという表現が使われることから一見褒め言葉にも見えますが、反面でハマったとき「だけ」強い馬というイメージもあり、脆さの同居している面こそ強調されているようにも思います。

ハマらなくても強いといった意味で、理想は「逃げて差す」とも言われたサイレンススズカなのではないでしょうか。目標にされやすい人気を背負いながらの逃げは困難を極めますが、それでも後続よりも速い上がりを使ってしまえば負ける道理はありません。本格化しこれからといった所での早逝だったため、非常に多くのタラレバを集めたうちの1頭でしょう。

そこまでの可能性を秘めているかと言えば少々ハードルが上がり過ぎる嫌いはありますが、ちょっと期待したくなる馬が日曜阪神10Rに出走予定のウォータービルドです。父ディープインパクトの3歳馬で2戦2勝はいずれも武豊騎手によるもの。デビュー戦は3番手から卒なく抜け出す安定した内容で勝利しましたが、2戦目の小倉・英彦山特別では10頭立ての最後方から直線一気の剛脚を見せて勝利しました。どちらも着差は1/2馬身と小さいですが、無駄なく測ったような勝利はある意味、馬自身が勝ち方を知っているようでもあります。

初戦では先行、2戦目ではシンガリ追走で連勝という馬は中々お目にかかれません。この時期ここまで2戦ということで菊花賞狙いならばトライアルをステップにしたいところでしょうが、目先のクラシックよりも古馬まで見据えても楽しめる馬ではないでしょうか。

今回は1000万条件で無傷の3連勝を狙いたいところですが、これまでの内容から鑑みると揉まれた時にどうなるか、どんな位置取りで競馬をするのかも含め、今後につながるレースを見せてもらいたいです。