ドバイターフを勝ってから約1年半白星を挙げれていなかったリアルスティールですが、前走の毎日王冠では見事な復活Vを果たし、一気に復活ムードが漂います。
去年ドバイターフ優勝後の安田記念では11着に敗れますが、その後の天皇賞秋では2着に入線して復活。しかし、その後のジャパンカップでは5着、さらに今年の始動戦の中山記念では格下メンバーを相手に8着と凡走が続きます。下降の一途を辿っているようにも見え、「もう終わった」と判断したファンも少なくないのではないでしょうか。
しかし、今回もまた毎日王冠で見事に復活を果たしました。定期的に復活するこの馬はムラがあって非常に予測しずらいといった印象が近年はあります。ただ、年齢別の成績を見てみると、3歳時の成績が「1-4-0-1」、4歳時は「1-1-1-2」、5歳になる今年は「1-0-0-1」と徐々に落ちてはいるものの、複勝率は常に50%を超えております。近年は大きく崩れる負け方をすることが多く、とくに去年の安田記念や今年の中山記念は復活の兆しが見えないような負け方でしたので「もう終わったのでは」という気持ちになってしまうのも無理ありませんが、見限るのはまだ早いかもしれません。
「今日は走る気まんまんだよ」なんて馬が言ってくれれば予想も簡単なのですが、馬は言葉をしゃべらないので会話で馬の気持ちを知ることはできませんし、ましてや画面ごしや柵を通してでしか競走馬を見ていない我々競馬ファンには競走馬の気持ちを知るなんてことは到底無理な話です。馬と日頃から接している厩務員や騎手ですら、走ると思っていてもレース当日になって全く走らず「敗因が全くわかりません」なんてコメントを残すくらいです。
データだったり過去のレースぶりから、リアルスティールという馬がどういうレースで走るのかということを分析していくしかないと思うのですが、近年の傾向を見てみると1つの傾向があることに気付きます。
外国人騎手との相性バツグン!?4歳以降に連対したレースは全て外国人騎手
3歳時は主戦の福永祐一騎手が全てのレースの手綱を握っておりますが、4歳からはR.ムーア騎手やM.デムーロ騎手といった外国人騎手を積極的に器用しております。ドバイターフを優勝しシルバーコレクターという不名誉な異名をぬぐい去ったのもムーア騎手ですし、今回毎日王冠で復活Vを果たしたのもデムーロ騎手です。4歳以降で連対したレースは全て外国人騎手によるもので、逆に大きく崩れた安田記念(福永祐一騎手)や中山記念(戸崎圭太騎手)は日本人騎手の騎乗によるものでした。
単純に外国人騎手を乗せたら強いというわけではないと思いますが、外国人騎手が手綱を握っている時に好走しているのは事実です。個人的には外国人だからどうのこうのではなく、単純に騎手の技量による部分が大きいと感じており、とくにデムーロ騎手が騎乗した2戦はいずれも高く評価したい内容でした。
前走の毎日王冠では先行集団とのスペースをうまく取り、中団集団の一番前と絶妙なポジションで進め、仕掛けを待って直線の序盤も馬なり、坂の上りでやっとゴーサインを出すといった完璧な騎乗で馬を勝利へと導きました。去年の2着に入線した天皇賞秋でも、3~4コーナーでペースが上がらない中で動いて後方に下げていった点などは後半のキレる脚に繋がったと思いますし、「この馬ってこんなにキレる脚使えるんだ?」と驚いたものです。
好走したレースを見てみると、3~4コーナーでも動いていく意識があるのが分かります。ドバイターフの時も、3~4コーナーで一旦一列下げて内に入り込む形で仕掛けを我慢したところなどはムーア騎手だからこそという内容でしたし、このあたりの判断というのはやはり騎手の技量や経験がものを言うのでしょう。福永騎手も仕掛けを待って絶妙なタイミングで出して勝つというレースは数多く見てきましたし、流石だなと感じます。しかし、道中で積極的に動いていく意識はやはりデムーロ騎手やムーア騎手の方が強く持っているという印象があります。このあたりの差が勝敗をわけているように感じます。
肝心の天皇賞秋では誰が乗るのか?
さて、肝心の本番である次走の天皇賞秋ですが、デムーロ騎手はサトノクラウンへの騎乗がほぼ決まっており、元主戦騎手の福永騎手はカデナへの騎乗で決まりそうですし、ムーア騎手もスケジュール的に厳しいでしょう。意気揚々と天皇賞秋への参戦を決めたリアルスティール陣営ですが、肝心の鞍上がぽっかりと空いてしまっている状況です。
外国人騎手だとフランスから短期免許で来日するV.シュミノー騎手がおりますが、果たしてどの馬に乗るのか?21日からの騎乗予定となっているので天皇賞秋には間に合いますが、ネオリアリズムなど他にも鞍上が決まっていない馬もいるので、どの馬とのコンビを組むのかも気になるところです。
他の騎手だと岩田康誠騎手や三浦皇成騎手が空いてそうですが、陣営はどの騎手に依頼をするのか?騎手次第なところが大きいリアルスティールですが、約2週間後にレースを控えた今なお鞍上が決まっていない現状で、果たして好走することはできるのでしょうか?前走の巻き返しで復活ムードが漂うも一転、暗雲立ち込める状況となってしまったリアルスティール陣営から目が離せそうにありません。