近年で耳にした転厩の一番の成功例と言えばやはりモーリスが挙げられます。馬の成長曲線と転厩時期が当てはまったという可能性も考えられますが、いずれにせよ本格化以降のモーリスの成績は、それ以前のくすぶっていた頃のものとは雲泥の差と言える成長を遂げました。
様々な転厩理由があるかと思いますが、その全てが成功するとは限りません。今回は美浦から栗東へ引っ越し、チャレンジカップで転厩2戦目を迎えるブレスジャーニーに注目してみましょう。
通常は転厩に伴い主戦騎手なども変わってくるイメージもありますが、この馬に関してはデビューから一度も手綱を譲らず、柴田善臣騎手が今回も継続騎乗になります。転厩先の調教師の意向などがあるため、美浦から栗東に移った後も乗り替わりなしで関東の騎手を継続起用というのは昨今では珍しいイメージがあります。
2歳時にはサウジアラビアRC、東京スポーツ杯2歳Sと重賞を連勝し、クラシックでの活躍も期待されていましたがまさかの長期離脱、何とか菊花賞には戻ってこられたものの、台風直撃の不良馬場と過酷な復帰戦を強いられ12番人気12着と、2歳時の期待からは大きく外れたクラシックとなってしまいました。順調ならばもう少しやれても不思議無かった馬だと思いますが、2歳時の戦績もマイル中心で父がバトルプランということを考えると菊花賞での成績は残念ながら妥当といったところかもしれません。
その点、今回は阪神コースこそ初めてとなりますが、距離は前走より大幅に短縮され得意距離に近い2000m、古馬とは初対戦となりますが、今年の3歳馬の世代は疑いようのないハイレベルということで、メンバー構成も前走よりは軽くなりそうです。同世代のサトノクロニクルが人気の一角になりそうですが、菊花賞でのお互いの着差は1馬身ほど。距離も舞台もガラリと変わるだけに、オッズに開きがあるようなら馬券妙味も期待できます。
また、栗東佐々木厩舎としても転厩してから成績急降下という評判はなんとしても避けたいところ。古くはシーキングザパールを転厩によって失った経験もある佐々木師だけに、逆の立場で預かることとなった大物候補のブレスジャーニーの好走は、誰よりも望んでいるのかもしれません。