香港ヴァーズへの招待が来た時に競馬ファンの間でも少々意見が割れたと思われるトーセンバジル。「重賞未勝利で海外G1は気が早い」「もっと他に招待するべき馬がいたはずだ」という否定的な意見から、「ジャパンカップに出てほしかった」など応援するコメントまで賛否両論様々かとは思います。いずれにせよ部外者の我々にとってどちらの言い分が正しいなどということはありませんが、今回に関して私は結果的に「香港でよかった」と思っている中の一人です。
理由として挙げられるのが騎乗することになったモレイラ騎手と、父ハービンジャーの勢いがあります。
モレイラ騎手は昨年の香港ヴァーズではサトノクラウンを優勝に導いたジョッキー。断然人気だったハイランドリールを豪快に差し切ってみせました。サトノクラウンもいっときの勢いを欠き戦績の物足りなさのあった時期からの復活劇だっただけに、今ひとつ煮え切っていないトーセンバジルもモレイラ騎手なら押し上げてくれるのではないかという期待があります。
そしてもう1点が、トーセンバジルの父ハービンジャー。初年度産駒デビューから3年たち、この秋一気に花開きました。ディアドラが秋華賞で念願の産駒G1初勝利を上げたかと思えば、エリザベス女王杯ではモズカッチャンが、マイルチャンピオンシップではペルシアンナイトが立て続けに成果を上げてきており、その勢いは侮れません。
今回が引退レースとなるハイランドリール、日本からは菊花賞馬キセキが人気になりそうですが、ハイランドリールは昨年ほどの勢いを感じられず、キセキは鞍上のデムーロ騎手が香港との相性か、成績があまり振るわない不安感もあります。
レーティングでは上位陣から大きく水をあけられておりますが、そのままの順番で決着とは簡単にならないのが競馬の醍醐味。今年もモレイラマジックが見られるかどうか、楽しみに週末を待ちましょう。