勝ち味が遅いと言えば、今では大種牡馬として名を残したステイゴールドの現役時代が最近では代表例としても挙げられるのではないでしょうか。そんなステイゴールドも、長らく勝てなかったかと思えば引退までに海外G1含む4つもの重賞勝ち星をあげてしまいました。一度勝利の味を覚えれば馬も変わるのか、一挙の成長を遂げることもある好例でしょう。
そういった意味で、今週のAJCCにいよいよ覚醒の時を迎えたと思える馬が出走してきます。昨年のクラシックでは1勝馬で本賞金不足の不安に悩まされながらも三冠完走を無事果たし、勝ちこそなかったもののいずれも入賞して賞金を稼いだ馬主孝行のダンビュライトです。デビュー戦勝利までは良かったものの、そこから菊花賞が終わるまで勝ち星に恵まれず1勝馬のまま4歳を迎えるかと思った最後の最後、クリスマスイブのサンタクロースSで何とか2勝目をあげました。
有馬記念の裏開催ということで騎手は替わって松若騎手で臨みました。準OPクラスとなり、相手関係は大幅に楽になったとは思われますが、初めて古馬対戦でもあり1番人気ではありましたが絶対視は出来ない状況のなか、4コーナー先頭から押し切る堂々たる勝利で2017年3歳の秋を終えました。
クラシックは多少を無理を押しての格上挑戦も止むを得ませんが、明けて4歳となった今年はG3かオープンレースからステップアップかとも思っていましたが、ゴールドアクターの復帰初戦を迎えるG2アメリカジョッキークラブカップへと照準を絞ってきました。
2つの勝利全てを成し遂げた松若騎手続投も見たかったところですが、先週日曜日に流石の手綱を見せたミルコ・デムーロ騎手に替わって今回は挑みます。ライバルの筆頭はやはりダントツ格上のG1馬であるゴールドアクターになります。こちらはこの秋を全休して宝塚記念から休養明けの復帰初戦となります。格こそゴールドアクターに譲るものの、勢いと順調さで言えばダンビュライトが上と見ていいでしょう。
今回ゴールドアクターの鞍上を務める武豊騎手は昨年のクラシックではダンビュライトとともに戦った経緯もあります。皐月賞3着から中山コースの適性、前走勝利の勢いからも軽視はしていないでしょう。どちらも後方待機より前目に付けたい馬ですが、悩ましいのが更に前で競馬をしたいであろうマイネルミラノの存在。ペースによってはゴールドアクター、ダンビュライトの2頭とも競り合うことなく単騎大逃げのような乱ペースとなる可能性もあります。
鞍上はペース配分、折り合いに関しても超一流同士。果たしてどのような位置取りで展開が進むのか、道中も目の離せないレースとなりそうです。