先週のケイティブレイブの出走により、管理する目野哲也調教師にとって最後のG1参戦が終わりました。思えばフェブラリーステークスは師にとって悲願とも言える思い出深いレースだったかもしれません。21年前にG1昇格初回を迎えたフェブラリーステークスには管理調教馬のストーンステッパーを1番人気で送り出しました。道中は2,3番手追走で普段通りの競馬が出来たように見えましたが、背負った人気のプレッシャーか、同じく人気馬のバトルラインの手応えの良さが気になったのか仕掛けがやや早くなってしまい、結果は名手・岡部幸雄騎手の駆るシンコウウインディに最後クビ差交わされ2着の苦汁をなめました。
奇しくも今年も1番人気ゴールドドリームがクビ差で敗れる結果になり、鞍上のムーア騎手も「仕掛けが早かった」と敗戦の弁を述べました。いかに名手と言えども人間である以上、人気を背負っているか否かで一瞬の判断が狂う可能性は拭えないのかもしれません。
終わってしまったレースはやり直すことができません。引退を目前に控え後ろ髪引かれないものがないとは言い難いでしょうが、G1ではありませんが最後の最後が控えております。今週は3歳オープン・すみれステークスに同じくケイティからケイティクレバーが出走を予定しています。過去5年の出走馬の中にはスズカデヴィアスやラストインパクト、スピリッツミノル、ブラックスピネルといった古馬になっても活躍している面々がいます。また、昨年は7頭と少頭数の開催でした菊花賞のワンツーとなったキセキとクリンチャーもここで3着、1着となっていました。そして、古くはフサイチコンコルドが和製ラムタラと呼ばれる足がかりを築いたのもすみれステークスでした。
鞍上には前走も出世レースの若駒Sを逃げて勝利に導いたコバテツこと小林徹弥騎手。前述のストーンステッパーにも騎乗経験があるように、古くから目野調教師とは師弟の堅い絆で結ばれています。京成杯2着のコズミックフォースなど1勝馬が56kgでの出走に対しケイティクレバーのみ57kgを背負うことになりましたが、ここを勝てば師匠を気持ちよく送り出せるのと共に、コバテツ自身にとっても有力馬でクラシックへ向かうことのできるまたとないチャンス。ぜひこの師弟コンビに結果を出してもらうべく、応援したいと思います。