今ではダート強豪の一角として名を馳せているテイエムジンソクですが、本格化前は準オープンで長く停滞していた時期もありました。成長したのか乗り替わりが功を奏したのか、そこから一年足らずの間にG1レースで一番人気を背負う馬にまで出世しました。
馬主業は道楽のようなものと言われるがありますが、現実に大金を投資している以上は結果の出ない方法を義理・人情のために続けさせられる筋合いもないでしょう。明らかな力不足ということであればオーナーも納得するかもしれませんが、後ひと押しで勝利が見えるところにいるとなるとまた話は変わってきてしまいます。
そんな窮地に立たされているのが、今週土曜の阪神メイン・ポラリスステークスに挑むコウエイエンブレムと松山弘平騎手です。父シニスターミニスター、母父フォーティナイナーという血統背景通りにダートで安定感のある走りを見せています。昨年3月と4月にオープンを連勝してからも重賞には挑まずオープンに出走しつづけていますが、その後6戦して10着大敗が1度あるものの、あとは2,3着といった成績。
オープン競走を高確率で2,3着で入線と言えば非常に高レベルなことは間違いありませんが、この間ずっと1番人気で出走しているにも関わらず勝ちに到ってはいないということは、結果的には人気を裏切った形となっています。これが格上挑戦での結果ならまだしも、昨年2連勝したオープン特別の「勝てるクラス」での出来事なだけに、松山騎手にとっては戦々恐々と言ったところでしょう。
特に交流重賞の狭き門をくぐらなければいけないダート馬にとって収得賞金は芝馬以上に重賞な要素でありますが、オープン競走で2着では本賞金こそもらえても収得賞金への加算には至りません。重賞に出走せずにオープンばかり出走しているのも賞金不足が原因かもしれず、オープンだからこそ賞金が加算されないスパイラルから抜け出すにはやはり勝利しかありません。
栗東・山内厩舎のダート中・長距離と言えばアポロケンタッキーがいますが、このコウエイエンブレムは短距離で看板をはれるポテンシャルを十分に秘めた馬。昨年も2着となったポラリスステークスで、久々の勝利が欲しいところです。