現在の日本の種牡馬事情と言えば、大物の期待値高いステイゴールドが亡くなったこと、輸入血統のハービンジャーが一定の成果をあげてきていること、ロードカナロア・オルフェーヴルといった新種牡馬が初年度産駒からクラシック制覇を成し遂げたことなどから、競争が盛り上がってきているように感じます。また、今後もドゥラメンテやモーリスと言った新星の登場もあるため目が離せませんが、今はまだディープインパクト、キングカメハメの二大種牡馬が牽引しているのが現状と言えるでしょう。
そんな巨頭にある決定的な違いは、ダート適性の有無にあると言えます。リーディングでは常に一歩先を行くディープインパクトですが、芝・ダート両方で後継種牡馬を輩出するキングカメハメに対し、ディープインパクトからは未だにダートの大物が出てきていません。
日本の競走体系的に、種付料が非常に高額なディープインパクトに生産者側もダート適性を求めていないというのはあるかもしれませんが、後継種牡馬のディーマジェスティからダートの適性がある産駒が出てくるのではないかという期待がかかっています。三代母のDoff the Derbyからはイギリスダービー馬Generousやイギリスオークス馬Imagineを出している血統であることは皐月賞馬の称号が伊達ではない裏付けとも言えます。
初年度100万円という数字は種牡馬入りしたディープインパクト産駒も多いため競合多数、戦績を見れば尻すぼみであったことなどを考えると皐月賞馬と言えども安すぎるわけでもなく妥当な所なのかもしれません。この値段設定になると地方競馬まで視野を広げて種付けが出来る現実的な金額になってきます。そこで面白くなってくるのが母の父ブライアンズタイムの存在。
芝よりも群雄割拠の時代にあるのがサウスヴィグラス亡きあとのダートの種牡馬業界です。こちらもサンデー系飽和と言われてはいますが、芝・ダート両刀の馬が出る期待が掛けられるとしたら、コストパフォーマンスの面からも案外ディーマジェスティの需要は多いのではないでしょうか。
種牡馬にとっては初年度産駒の成績がその後を左右すると言っても過言ではありませんが、種付け数が1頭まで追い込まれていたオウケンブルースリからオウケンムーンが産まれたように、こつこつと継続していくことで日の目を見る種牡馬もいます。初年度産駒が苦戦したとしても、長い目で見ていきたい種牡馬の1頭ですね。