オークストライアルのフローラステークスで、本番でも上位人気が目されているサトノワルキューレと同タイムの2着となり優先出走権を手にしたパイオニアバイオ。昨年の夏から特にまとまった休みも無くコンスタントに出走し、ここまで9戦をこなした戦績が全て4着以内の【1-5-1-2】と、勝ち切ることは出来ないものの安定感は抜群と言える。
しかし、勝ち上がりに8戦も要したため、フローラSでの2着がなければパイオニアバイオのレベルには疑問符がついたままだったであろう。むしろフローラSでの走りをフロック扱いされないためにも今回こそが試金石の一戦となる。
パイオニアバイオの血統面を振り返ると、父がルーラーシップ、母がローズS勝ち馬で、阪神JFと秋華賞で2着という実績を持つアニメイトバイオであり、オークスでも4着という好成績を収め、牝馬クラシックで活躍できるだけの背景を持っている。また、ルーラーシップの母がエアグルーヴ、そしてアニメイトバイオの父がゼンノロブロイと、共に東京2400mに縁のある血統でもある。
そして何より今年の天皇賞(春)を勝利したレインボーラインが母アニメイトバイオの半弟、つまりパイオニアバイオから見て叔父にあたる旬な血統でもある。血統面からの適性で判断する限り2400mに不安はないだろう。
脚質的には先行力があり、終いのしぶとさも兼ね備えていることから、スローペースの混戦になったときはそのまま粘り込むことも十分考えられる。もしも馬券に絡むことができれば人気の盲点となり、高配当を演出してくれることだろう。ただ、極端なスローペースになり、瞬発力争いのような形になると、持ち前の勝ち味の遅さを発揮してしまうデメリットが勝るかもしれない。
また、ルーラーシップは不良馬場を得意とした馬としても知られ、叔父のレインボーラインは昨年の泥濘のようだった天皇賞(秋)で僅差の3着に入っており、母系も重馬場に強い血統が蓄積されている。数字だけをみれば勝ち味に遅い1勝馬の善戦マンといった雰囲気のパイオニアバイオだが、条件が整えば一気に頭まで狙えるだけの可能性を秘めた馬であることは注目しておきたい。