皐月賞は速い馬が、菊花賞は強い馬が、そしてダービーは運が良い馬が勝つというのは古くから言われている格言です。しかしながら、運が絡んでくるのはダービーだけに限らず、紆余曲折を経て様々なドラマを織りなすのが競馬です。
NHKマイルカップのケイアイノーテックは武豊騎手騎乗停止によって乗り替わりとなった藤岡佑介騎手に、G1初勝利という大きなプレゼントをもたらしました。また、収得賞金不安からヴィクトリアマイルへの出走も危ぶまれていたジュールポレールは福島牝馬Sで賞金を積み上げる選択肢もありましたが、本番一本に絞って調整した執念が実り、フルゲートぎりぎり18頭目で出走が叶い見事戴冠となりました。ローテーションが変わってしまえば同じ走りができない可能性も高いため、まずは出走可否の一か八かに勝利した陣営の運気による賜物とも言えるのではないでしょうか。
また海外でも、ダンビュライト、アルアインが出走したクイーンエリザベス2世カップでは、騎乗予定だったマカヴォイ騎手が病気により急きょビュイック騎手に乗り替わりとなったパキスタンスターが快勝しました。
人間万事塞翁が馬、災い転じて福となすといったように、悪いことが起きてもへこたれない心が大事なのでしょう。前記の例では馬に焦点があたっていましたが、日本ダービー出走のコズミックフォースに騎乗が決まった石橋脩騎手がまさにこういった状況にいるのではないか、今年の傾向として受けるなら注目してみたいと思います。
青葉賞2着で共に権利を取ったエタリオウはそれまで騎乗していた和田騎手ですらなくテン乗りとなるボウマン騎手での出走となり、あわや日本ダービーへの乗鞍なしとなるかと思われたところだっただけに単純にありがたい騎乗依頼出会ったことは間違いないでしょうが、先週のオークスで騎乗したラッキーライラックと同じサンデーレーシングからの依頼ということで一層身が引き締まる思いかと思います。
オークスでのラッキーライラックは、桜花賞よりも着順を下げる3着に敗れる結果となりました。アーモンドアイのパフォーマンスを見ると負けた事自体はある程度仕方がなかったにしても、これまで先着しつづけていたリリーノーブルにも届かなかったというのは非常に痛手となったに違いありません。それだけに、大舞台での新たな依頼はありがたいと共にプレッシャーも大きいはず。
中々結果に結びつかないトライアルレースのプリンシパルステークス勝ち馬ということで人気も下から数えたほうが早い程度に収まるかと思いますが、管理するのがアーモンドアイで2冠達成の国枝調教師ということで勢いはあります。また、オウケンムーンとの2頭だしになり、おそらくコズミックフォースのほうが人気が下回るだろうことを考えると2頭出しは人気薄から、というジンクスにも適合します。
石橋騎手としてはラッキーライラックで桜花賞、オークスとも善戦はしているものの、人気を下回る競馬になってしまっていることから危機感は持っていることと思います。せっかくの大馬主とのパイプをより太いものとするべく、ここは人気以上の競馬が出来るよう気合も入っているのではないでしょうか。