第85回東京優駿は福永騎手の駆るワグネリアンが優勝し、天才騎手と称えられた父の成し得なかった悲願の達成で幕を閉じました。
また、日本馬による海外ダービーへの出走も近年増えてきており、アメリカのケンタッキーダービーへの出走権をかけた「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」も日本で開催されるようになりましたが、今年は本戦への登録はなく、残念ながらまだ軌道に乗っていないというのが現状のようです。
今年は特に、全日本2歳優駿の上位2頭ルヴァンスレーヴ、ドンフォルティスが今年も引き続き好調を維持しており、それ以外にもヒヤシンスS勝ち馬のスマハマなど、骨折により戦線離脱の報が入りましたが、昨年のエピカリス以上に期待のできる馬が多かっただけに、誰かしらの参戦があってほしかったという思いはあります。
海外挑戦といえば身近な香港か、あるいはヨーロッパという風潮がある中で、アメリカのクラシックやブリーダーズカップに向けて果敢に挑んでいるのがノースヒルズの前田オーナーではないでしょうか。
2016年のUAEダービーを勝利し一躍脚光を浴びたラニは、日本とは違い間隔の非常に詰まった過酷さで知られるアメリカ三冠を完走し、走るたびに着順を上げ、その奔放なふるまいから現地でも話題になりました。しかし、G1の称号を得られないまま昨年引退し、受胎条件50万円で種牡馬入りしました。父は2014年から3年連続北米リーディングサイアーに輝いたタピット、母父はサンデーサイレンスとアメリカンな配合です。
父タピットからは日本ではテスタマッタ含めダート馬がやはり多く出ていますが、昨年はラビットランがローズSを勝利するなど、芝への適性も見せています。特にラニは母が天皇賞(秋)を勝利したヘヴンリーロマンスということを考えると、更に芝への適性を狙える血統背景になっているかと思います。
気性面にやはり問題があるため、配合はノースヒルズの繁殖牝馬相手が主なものになるかもしれません。父・母父ともにケンタッキーダービーへも出走した名馬のこの血統が遠い極東の地で50万円で種付けされていると知ったらアメリカの生産者がひょっとしたら興味を持ってくれるかもしれませんね。
競走面では期待していたほどの才能を開花しきれなかったラニですが、芦毛の暴れん坊ということでゴールドシップ同様に競馬ファンから愛されました。産駒から父を超えるG1馬や、はたまた米国クラシックを賑わす馬が誕生するか、どれだけ相手を集められるかも含め楽しみな種牡馬の一頭です。