マーメイドステークスと言えば、長年の競馬ファンなら10年前、雨が降る重馬場の中、12頭中12番人気でハンデ48kgだったトーホウシャインの大激走を記憶している方も多いのではないでしょうか。毎年梅雨入りのこの時期、なんとなく馬場が重たくなってきて、軽斤量の穴馬が激走して荒れるといったイメージのあったこのレースですが、2009年から2017年までの結果を見てみると、雨の降った日はあったものの全て良馬場の発表という意外なデータが残っていました。しかし、それでも荒れる方の印象は間違っておらず、昨年以外は全て3連複も万馬券となっていました。
そんな荒れるマーメイドステークスですが、週末が雨予報という情報と相まって今注目したいのは、ハンデ48kgで出走となる「スティルウォーター」です。
前走1000万下の芝2400mのレースで10頭中8着と大敗していますが、その時の馬場が不良であったため一見降雨は歓迎できないようにも見えます。しかし、昨年秋の2200mのレースでは重馬場を上がり最速で快勝した実績もあります。不良馬場の前走は2400mで2:36.9と、欧州競馬の重馬場ほどの勝ち時計であり、そこまでのコンディションは度外視してもよいのかもしれません。
血統的にも、キングカメハメハ産駒は阪神競馬場の重馬場でよく走り、母ソリッドプラチナムは雨の重馬場で開催された2005年のマーメイドステークスで3着に好走しています。そして母の父はステイゴールドということで、重馬場を苦にしない血統背景を持っています。そんな馬が最軽量48kgというハンデで出走できるというのは非常に恵まれた条件と言って良いでしょう。前走は55kgでしたが、特にスティルウォーターは前走の馬体重418kgと小柄な馬なので、マイナス7kgは同馬にとってかなり大きなプラスとなりそうです。
鞍上を任される川又騎手はまだ2年目で、重賞への騎乗も昨年の青葉賞以来2度目と無名であり実績もありません。しかし48kgで乗れる騎手が限られていることもあり、今回チャンスが到来したからには、若さを活かした大胆な騎乗を見せてくれることを期待したいです。
失礼ながら、馬も騎手も実績的には格下と言えるかもしれませんが、今回のマーメイドステークスは荒れる牝馬のハンデ重賞。馬場や斤量のアドバンテージがあるスティルウォーターなら、穴を開けてもおかしくはないのではないでしょうか。