いよいよ今週は宝塚記念、春のG1シリーズの総決算であり上半期のグランプリを大いに盛り上げていきたいところですが、ある意味ではもっと大きいといえるイベントが土曜の東京競馬場で開催されます。8Rに組まれている東京ジャンプステークスでは、障害2000回目の騎乗となる林騎手が、アスターサムソンでラストライドを迎えます。
障害の魅力とは何か?飛越のまさに人馬一体と言った美しさや力強さ、長時間走りきるスタミナなど人により様々あるでしょうが、私は「全馬完走すると拍手が起こる」ことにあると考えています。全馬完走はそれだけ難しいことであり、それだけ嬉しいことなのです。
また、障害に騎乗する騎手によると「自分でイチから馬を作れるのも魅力」といいます。当歳から牧場で育てながら厩舎に来てようやく触れることのできる平地の馬に比べて、障害馬は良くも悪くも飛越をゼロから勉強することになるため、競馬を教え込む楽しみはまた格別なのでしょう。障害においては、芝・ダート以上に人馬一体が求められると言っても過言ではないでしょう。
さて、今回の東京ジャンプステークスは登録11頭ということでフルゲート割れとなりますが、シャインレッド、マテンロウハピネス、ミュートエアーなどオープン勝ちから勢いに乗ってここに挑む馬が多く、ミュートエアーは前走で10馬身ちぎっての圧勝を演じており、有力馬が揃っております。アスターサムソンは前走の京都ハイジャンプを勝利し、重賞初制覇を達成。林騎手の引退レースということもあり、今回は1番人気が濃厚です。オジュウチョウサンもアップトゥデイトも不在の重賞ですが、アスターサムソンにとっても油断ならないメンバー構成となりました。
かねてより宣言していた2000回目の騎乗は思いのほか早く訪れてしまいました。現在のお手馬にはアップトゥデイト以外にもヨカグラといった期待馬もおり、せめて年内・中山大障害までは乗ってくれないだろうかと思っているファンも多いのではないでしょうか。クールに淡々とステッキを起きそうなイメージもある林騎手ですが、最後に何を語るのか注目したいところです。
東京ジャンプステークスの過去5年のデータを見ると、1番人気は1着と2着が1度ずつ、馬券外に3回ということで楽ではないレースになりそうですが、林騎手の今年の驚異的な勝率、連対率を見ると勝利で締めてくれる期待感は高まります。泣いても笑っても今週で最後となる林騎手の勇姿をぜひご堪能ください。