今年は欧州でサクソンウォリアー、スタディオブマンが立て続けに活躍し、特に評価が上がっているディープインパクトですが、海外の生産者が自身の期待をかけている繁殖牝馬に種付けをしようにも、日本に空輸する手間、そして高額な種付け料を考えると簡単なことではありません。また、期待通りに走るとも限らず、事故や病気、不受胎などといったリスクを考えると資金に余裕があっても二の足を踏んでしまうかもしれません。
そう考えると何もディープインパクトの「直仔」にこだわることもないのではないか。日本で後継種牡馬争いをする多数の産駒の中から選ぶこともでき、日本へ来なくとも冒頭のサクソンウォリアーやスタディオブマンなどのように、今後欧州で活躍したディープインパクト産駒が種牡馬入りしていくこともあるでしょうし、シャトル種牡馬を選ぶという可能性も出てきます。
そんなディープインパクト後継種牡馬の新たな選択肢として、青葉賞勝ち馬のヒラボクディープが欧州で種付けを開始することとなりました。G1未勝利にして種牡馬入りしただけでも僥倖でしたが、今シーズンの種付け終了後はアイルランドに輸出されます。
近親にはベルモントステークス勝ち馬のエディターズノートがいる良血統でもありますが、やはり欧州に望まれているのはダート適性よりもサンデーサイレンス産駒に伝わる高い芝でのスピード能力にあることでしょう。母の父がストームキャットと、キズナやラキシスなどに代表されるように日本で結果の出ている人気の配合というのもこの戦績での種牡馬入りの後押しとなっていると見られますが、それ以上にやはり欧州でのディープインパクトへの期待を伺わせるニュースと言えます。
サンデーサイレンス系が競走馬としてのみならず種牡馬としても世界に羽ばたいていき、系統として着実に根付いていくのを感じます。日本には多数の有力後継者たちがいますので、このヒラボクディープの活躍次第では、日本国内で燻っている系統にも光が当たってくるかもしれません。