昨年の東京スポーツ杯2歳ステークス(G3)を勝ったスマートオーディンだが、前走は正直お行儀が良い競馬とは言えなかった。
スタートで少し後手を踏むとしばらくは掛かり気味。2ハロン過ぎからようやく鞍上の武豊騎手の意図を理解したのか折り合いがつき、後方からレースを進めることに。
前半1000メートルは、62.4とスローペースで、直線に入ると、ここからスマートオーディンの末脚が炸裂。坂上あたりの脚は正直、目を見張るものがあった。
上がりはただ1頭32秒台の競馬をしており、かなりの能力の持ち主だということを競馬ファンに見せつけたシーンではなかっただろうか。
ただし、ラスト100メートル付近では、激しく内にささるシーンも見受けられ、操作するのに難しい馬という印象も同時に与えてしまった。ゴール付近では内にささりっぱなしのため、ほとんど追えていなかった。圧倒的な能力の高さと、高レベルの気難しさを内に秘めている、なかなか、個性的な馬である。
基本能力が高いため、それでも勝ちきってしまったスマートオーディンだが、今後対戦する馬のレベルがケタ違いに上がってきたときにどうなるか。正直、前走のような出遅れから掛かり気味の道中のロス、直線、激しく内にささるという競馬をしていたようでは厳しいとみている。
今後は、この辺りのスムーズさがポイントとなってくるだろう。スマートオーディンを管理する、松田国英調教師は、過去にクロフネやタニノギムレット、キングカメハメハなど数々の名馬を管理してきており、この時期の3歳馬にハードトレーニングを課す厩舎としても有名である。タニノギムレットはそれが功を奏したのか、1ヶ月ごとに馬が明らかに強くなっていったのが手に取るようにわかった。
激しい調教で壊れていった馬もいるため、非難を浴びることもあるが、松田国英調教師の種馬になれるような強い馬を作るという信念のもと、現在・過去の大先輩と同じような厳しい稽古を積んでいるスマートオーディンの姿に注目したい今週の共同通信杯である。