日本の重賞レースで唯一の直線競馬、新潟1000mで行われる「アイビスサマーダッシュ」が今週日曜日に開催されます。このレースが出来た当初は、外国の直線競馬同様に内外に分かれるようなレース展開が予想されておりましたが、蓋を開けてみると外枠天国で、外枠有利な傾向が顕著に表れるレースとなりました。それでも迫力のあるスピード勝負は直線ならではですし、騎手の駆け引きもコーナリングのある他の短距離レースよりも断然見ていて楽しい条件であると個人的に感じます。
今回注目馬として挙げさせていただきたいのは、6歳牝馬のノットフォーマルです。
3歳時にはクラシック3戦ともに出走しているほどの馬なのですが、古馬になってからは、16戦して1着2着ともに1回ずつで、2桁着順が10回もあるなどパッとしない成績です。前走のバーデンバーデンカップでは50kgの軽ハンデながらも7着に敗れ、勝馬との差も0.6秒差と残念な結果となりました。
しかし、それでもこの馬に注目しているのは、3走前、古馬になって唯一の2着に好走した韋駄天ステークスのレースっぷりにあります。ノットフォーマルにとっては初の直線競馬でしたが、抜け出して楽勝したダイメイプリンセスに後続から唯一追い上げ、2着に食い込んできたのです。大抵の直線競馬のレースを見てみると、レース後にはほとんどの馬が同じような脚色になっていることが多いものですが、ノットフォーマルの場合は唯一伸びてまだ脚色が残っているように見えました
50kgの斤量の恩恵があったのも大きかったとも言えますが、あの脚色から判断するとまだまだタイムは縮められるでしょうし、この馬には直線競馬の適性が十分に感じられたレースっぷりでした。
ただ、不安があるとすれば、鞍上の原田騎手の実績かもしれません。原田騎手は今年7年目の騎手ですが、今年は68レースに騎乗し、まだ1着と2着が1回ずつあるだけといった成績です。戦績的にはやや心もとないですが、数字だけは何気にノットフォーマルの古馬での成績と同じですし、唯一の2着はノットフォーマルが2着となった韋駄天ステークスでのものあります。
そういうい意味では、まさに人馬一体となってと言う言葉がぴったりのコンビかもしれませんね。
今回のアイビスサマーダッシュは、ミルコデムーロ騎手や福永祐一騎手、戸崎騎手など実績上位のトップジョッキー達も有力馬の鞍上として出走します。実績やネームバリューでは劣りますが、一筋縄ではいかない競馬が続いている今夏の夏競馬。同競走も何が起こるかわかりません。ノットフォーマルの直線競馬への適性と、原田騎手とのコンビの力が有力馬とトップジョッキー達以上の能力を発揮することも十分にあるでしょう。
ということで、今回は隠れた直線競馬巧者の可能性もあるノットフォーマルが、原田騎手と人馬一体となって見事に好走してくれることに期待したいと思います。