時計が出やすい京都競馬場でありながら、勝ったサトノクラウンのタイムは、2:17.7とゆっくりとしたものだった。馬場状態は、重馬場ということもあり、パワーが求められる競馬となったが、この悪条件の中での高い重馬場適性を発揮したサトノクラウンは見事である。
2着の、タッチングスピーチにつけた着差は3馬身。良馬場の時の競馬よりも強さを感じさせた。個人的に、前走の天皇賞・秋(G1)から、約3ヶ月半ぶりの実戦ということで、完全に軽視していた1頭だ。しかも、前走は17着に惨敗している。
春に弥生賞(G2)・1着、ダービー(G1)・3着の成績があるにせよ、直近の競馬があまりに不甲斐なかったため、実績の割には、6番人気に収まったのも、やはり、天皇賞での惨敗が影響していたのだろう。
この日のレースでは、1000メートル通過タイムが、63.6であり、馬場状態を考えると、大体、平均か少し速いぐらいであるが、これだけ馬場が悪くなると、道中で追走するのに精いっぱいという馬も当然出てくる。普段の競馬とは違う、我慢比べの強さが求められたレースで3馬身差の快勝を決めたサトノクラウンは、今後も、このような力の要る馬場での競馬になったら注意しておきたい。
父がMarjuに、母がジョコンダ2という血統であり、日本ではなじみが薄い血である。ジョコンダ2は、アイルランドのG3での3着入線があるが、母系も騒ぐほどの良血ではない。父のMarjuは、英国でのG1勝利と、イギリスダービーの2着の成績があり、Marjuの父は、日本でも良質な産駒を送り出したラストタイクーンである。
Marjuの代表産駒の1頭に、ジャパンカップ(G1)にも出走したことのあるインディジェナスがいる。スペシャルウィークが勝った、99年の2着馬といえば思い出す競馬ファンの方もいるだろう。
また、桜花賞(G1)を勝ったマルセリーナの母はMarjuの産駒であり、仏G1を勝ったマルバイユである。今後は、このサトノクラウンの血統の重馬場適性をしっかりと覚えておこうと感じた日曜日だった。
個人的に次走は、距離の面も含めて、阪神大賞典(G2)での競馬を見てみたい。ここまで、力の要る馬場で完勝したことを考えると、持つているスタミナは相当のものだと感じる。3000メートル以上の競馬もこなせば、出走できるレースの幅も広がるのではないだろうか。ぜひ、チャレンジして頂きたいところだ。
2着のタッチングスピーチも休養明けを考えると立派である。どうしても牡馬と比べると非力な面が出やすい牝馬でありながら、この重たい馬場をこなしたのは実に見事である。ひと叩きされた次走も注目だ。
3着・アドマイヤデウスは、前走の有馬記念(G1)で0,3差の7着と着順以上に好走しており、その力をこの日のレースでも発揮できた。去年の日経新春杯(G2)と日経賞(G2)を連勝した馬で、過去の成績を振り返ると、寒い時期のほうが競馬はしやすいタイプなのかもしれない。暖かくなる春先まで注目してみたい馬だ。
5着・ヤマカツエースと6着・ワンアンドオンリーも現時点での持てる力を出しきっている。2頭とも、強気に勝ちにいっての競馬である。悔いはないだろう。
1番人気に支持された、レーヴミストラルはこれはもうしょうがない。前走の日経新春杯で、あれだけの切れ味を発揮した馬が、この日の不良に近い馬場をこなせというほうが難しいと感じる。良馬場で仕切り直しの1戦といきたいところだ。
非常にタフな競馬であったため、全馬ともしっかりと疲労回復に努めて、また、レースに出走してきてもらいたいと感じた今年の京都記念であった。