牝馬は1度調子を落とすとなかなか以前のように活躍できなくなる。1度の大敗が残す傷跡は牡馬と比べ繊細な牝馬は大きくなる。一度調子を落とし、その後1度も勝てなかった一流牝馬がここ20年でも何頭かいる。
まず、ヒシアマゾン。3歳時(当時は4歳)は無敵の強さを誇ったが外国産の為、クラシックには出られなかった。しかし、インパクトの大きいレースを数多く残した。今でも伝説と言われているのが、クリスタルCの直線一気だ。誰もが、逃げたタイキウルフの勝利を確信した直線。中山の310mの直線で豪脚炸裂ものの見事に全馬交わし去ってしまった。これには呆気にとられた人も多い。
ヒシアマゾンが、G1レースに3歳時出走できたのは、エリザベス女王杯から。このレースでは僅差での勝利となった。チョウカイキャロル・アグネスパレードが意地を見せ、3頭並んでゴールインした。凱歌はヒシアマゾンにあがったが着差はハナ差だった。
そして有馬記念、ナリタブライアン1強ムードの中。大混戦の2番手争いを断ったのもヒシアマゾンだった。ナリタブライアンには3馬身及ばなかったものの、3歳女王のプライドを見せ2着。この後。翌年のジャパンCでは、ドイツのランドに負けはしたものの日本馬再先着の2着入線を果たす。その後は1度も連対する事はなかった。エリザベス女王杯で2着入線を果たすも7着降着になってしまう。これだけの逸材が一つの敗戦から、深みに嵌ってしまうのだ。