この日のミッキーアイルは久々に逃げに転じての競馬。ゲートが開くと、テンのスピードは、この日のメンバーなら随一。あっという間にハナに立った時は見ているこっちも気持ちがよかった。
前半600メートルを33.8、800メートルを45.2で通過すると、直線でももう一回良い脚を使い先頭1着。開幕週の阪神とはいえ、勝ちタイムの、1:19.9は速い。香港帰りで調整が難しくなるローテーションである。馬場状態が味方してくれたことも大きかったが、やはりスピードの絶対値はG3クラスであれば譲れない部分もあるのだろう。
14年のスワンステークス(G2)を、1:20.3のタイムで勝っている馬でもある。時計が速くなる競馬も上手。今年は、久しぶりのG1制覇に向けて視界は良好といえるスタートが切れた。次走にも注目。
2着のオメガヴェンデッタは、馬群に揉まれることなくストレスのかからない競馬ができた。父が、ゼンノロブロイに、母がビハインドザマスク。確かに両親から受け継いだスピード血脈である。芝のマイルは、3回走って、3着、6着、12着。3着は、3歳限定時でのものであるため、まだ絶対能力だけで克服可能な時期の競馬である。
逆に、芝1200~1400メートル戦は【3-0-3-2】前走・京都金杯(G3)11着からの阪急杯(G3)2着。そろそろ、距離適性も見えてきたような気がする。厩舎は、短距離の馬を作らせたら、天下一品の安田厩舎。ロードカナロアやカレンチャンの時に学んだノウハウのようなものは必ずある。厩舎込みで、今後のこの馬の競馬に注目してみたい。
3着・ブラヴィッシモは、直線で、2着のオメガヴェンデッタと火の出るような叩き合いを見せてくれた。個人的に勝ったミッキーアイルより注目してしまった壮絶な2着争いであった。一度、前に出掛けたところを最後はねじ伏せられた形にも見えたが、力関係は全くの互角。展開やペースが変われば、この2頭の着順は今後も入れ替わってくるだろう。OP~重賞クラスで今後も期待。
4着は、ミッキーラブソングとサドンストームの同着。2着~4着の着差は、クビ、ハナの大接戦であった。
ミッキーラブソングの橋口調教師は重賞のラストラン。引退後は、大好きなプロ野球チームである、巨人戦の観戦をぜひ、ゆっくりと、楽しんでもらいたいところ。日本ダービー(G1)1着1回、2着4回。その他にも多数のG1タイトルや重賞勝利あり。名伯楽と呼ぶにふさわしい調教師だった。
この日のレースで、掲示板を外した馬の中で、注目したいのが、7着・ダノンシャークと8着・ヒルノデイバロー。2頭とも道中の位置取りは後ろのほうであったが、直線は猛然と追い込んできていた。ちょっと直線窮屈になるシーンもあり、スムーズに競馬ができるのであれば次走以降も注目してみたい。
6着に敗れたレッツゴードンキは、まだ、単騎で逃げることができれば怖い存在だと感じる。次も注目。
ミッキーアイルのテンのスピードの速さと、2着以下の直線の叩き合いが非常に見応えのあったレースだった。