先日、JRAが来年2017から大阪杯をG1に格上げするというニュースがあった。大阪杯は現時点では阪神・芝2000メートルのG2として開催されている。時期としては、クラシック本番の第1弾・桜花賞(G1)が始まる1週前。春の訪れを告げる桜が咲く季節の仁川の名物レースであり、天皇賞・春(G1)や宝塚記念(G1)に向けて有力馬が復帰初戦として選択することが多い。
G1格上げを検討しているぐらいだから、勝ち馬も負けた馬の中にも名馬と呼ばれる馬が多数出走しているのも特徴。直近3年の1着馬は、ラキシス・キズナ・オルフェーヴル。どれもG1を勝っている馬である。
元々、84年のグレード制導入以降から実力馬が集まりやすいレースであり、グレード制が導入されて初めての大阪杯の勝ち馬はカツラギエースであり、カツラギエースはその後、ジャパンカップ(G1)で3冠馬・シンボリルドルフとミスターシービーを退けて勝つまでに至った。
90年代に入ると、馬名を見るだけでキラキラ、ピカピカした気持ちにさせてくれるような名馬が本格的に勝ち始めるようになった。90年代前半はスーパークリークに始まり、トウカイテイオーやメジロマックイーン。90年代後半には、タイキブリザードやマーベラスサンデー、エアグルーヴなどが大阪杯を快勝してその後にG1を制するか、G1馬の貫録を見せつけている。
特に1992年の勝ち馬・トウカイテイオーは前走が前年の日本ダービー(G1)以来の骨折明けの競馬であり、ローテーションで大きな不利がありながらも直線持ったままで抜け出し、観客に大きな衝撃を与えた。個人的には映像でしか見たことがないレースであるが、この日のトウカイテイオーの競馬をリアルタイムで見ていた競馬歴が長い方が羨ましい限りである。
2000年代前半では、目立った勝ち馬は前年の皐月賞(G1)・日本ダービー(G1)の2冠馬・ネオユニヴァースぐらいであるが、強烈な切れを武器に大阪杯を快勝した2002年・サンライズペガサスなども個人的にとても印象に残っているレースである。サンライズペガサスはその後、ケガで悩まされたが2005年に7歳にして同レースで復活Vを成し遂げ大阪杯を2勝した。
2000年に年間8戦8勝で国内古馬中長距離の王道を完全制覇したテイエムオペラオーが、翌2001年の復帰初戦に選択したのがこのレースであり4着に敗れたのもある意味衝撃的だった。勝ち馬は重賞未勝利のトーホウドリームだったから競馬に絶対はないというのがよくわかるレースでもある。
2000年代後半は、カンパニー・メイショウサムソン・ダイワスカーレット・ドリームジャーニーなど錚々たるメンバーが勝ち馬に名を連ねている。
2006年のカンパニー大阪杯優勝時の年齢は5歳。この約3年後の2009年に8歳にして天皇賞・秋(G1)・マイルチャンピオンシップ(G1)を制覇。
この偉大なる先輩達の後に続けと2010年代に突入している現在でも、勝ち馬は過去の名馬と比較しても負けないぐらいのG1馬達の名前が見受けられる。
G1昇格のためには、直近3年のレースレーティング平均が115以上という条件があるが、まずこの点は出走メンバーのレベルを考えると余程のことがない限りクリアできると思われている。
大阪杯がG1格上げで関西で開催されるとすれば、中長距離のG1は春に関西で3戦、秋に関東で3戦というバランスの取れたものとなる。
近年のトレンドである、春に適鞍がないため海外遠征という形がもしかしたら減る可能性もあるが、それはそれで国内競馬が大好きな方にとっては嬉しい限りだろう。
2017年からの古馬王道路線にまた楽しみがひとつ増えそうである。