2016年3月17日に名古屋競馬場で開催された交流G3の名古屋大賞典はアウォーディーが大差勝ちを決めた。アウォーディーは現在6歳の牡馬であり戦績は29戦7勝2着4回という馬である。この成績だけでもなかなかの実力を秘めているなと感じるが、ダートに限れば現時点で3戦3勝の完勝が続いている状態である。
この馬がダートに初挑戦したのは、昨年2015年のオークランドRCT(3歳以上・準OP・ダート1800)であり、この時はダートが初ということで嫌われたのか7番人気という低評価であった。結果は中団追走からの1着であり見事初ダートを勝利で飾ったが2着馬との着差は3/4馬身であり辛勝といっていい形に見えたが3着以下には5馬身の差を付けている。
ダート2戦目は阪神2000メートルのG3・シリウスステークス。準OPからクラスが上がりアウォーディーにとっては試金石の1戦となったが、ここを2着のダノンリバティに3馬身の差を付けて圧勝した。クラスが上がった中での圧勝劇はなかなかのインパクトがあり、このシリウスステークスで今後が注目される1頭になっただろう。
前走が昨年の10月であり、間隔が開いて久々の競馬ということでローテーションを不安視されながらの名古屋大賞典での2.4秒差の大差勝ち。
父がジャングルポケットに母がヘヴンリーロマンス、母父がサンデーサイレンスという血統。ジャングルポケットは現役時代、日本ダービー(G1)とジャパンカップ(G1)を制した馬であり、産駒には天皇賞・秋(G1)を勝ったトーセンジョーダンや菊花賞(G1)勝ちがあるオウケンブルースリがいる。
母のヘヴンリーロマンスは現役時代に天皇賞・秋を14番人気で制して波乱を演出した牝馬である。その時の鞍上がアウォーディーを管理する松永幹夫調教師ということでドラマ性もある馬。
母父のサンデーサイレンスも父としてゴールドアリュールなどのダートG1馬を輩出したが産駒は芝のクラシックや古馬王道路線で活躍する馬が目立った。この血統でアウォーディーがダート馬として素質が開花したというのも驚きである。
ただ、1歳下の半妹にエンプレス杯(交流G2)勝ちなど、交流重賞4勝を挙げているアムールブリエがいる。
アムールブリエの父はSmart Strikeであり、日本では共同通信杯(G3)を勝ったブレイクランアウトがいるが、海外では2003年に当時の日本の絶対王者・アドマイヤドンをアウェーの日本のジャパンカップダートで撃破したフリートストリートダンサーや米国のBCクラシック(G1)を勝ったカーリンがおりアムールブリエのダート適性は父から受け継いでいるものだとわかるが、兄のアウォーディーまでがダートで好結果を残すとは驚きである。
ただ、アムールブリエの他にも半弟に今年のダート戦線で注目されているラニやその他の兄弟もダートで結果を残しているため、ヘヴンリーロマンスの子どもは高いダート適性というものがあるのだろう。
血統だけではわからない部分があるのも競馬の難しいところ。地方の深いダートで高い適性を示したため、今後は交流G1制覇の夢が広がってくる。
主戦・武豊騎手は自身の交流重賞騎乗機会3連勝中と絶好調。この馬にもG1タイトルをプレゼントしてほしいところである。アウォーディーの次走に注目だ。