昨年のエリザベス女王杯を勝利したモズカッチャンが有馬記念へ出走してくる。昨年に引き続き今年のエリザベス女王杯へ挑戦したが、惜しいところがあったにせよ結果は3着に終わった。
フローラステークス勝利以降は重賞、特に牝馬路線で戦ってきたモズカッチャンだが、エリザベス女王杯勝利以降は一転して牡馬と対戦するようになり、京都記念ではクリンチャーと0.2秒差の4着に入り、ダービー、天皇賞秋を制し、今回の有馬記念の優勝候補の最有力レイデオロともタイム差なし、札幌記念もサングレーザーやマカヒキとタイム差なしの3着と見せ場は作ってきた。
これまでの重賞で牡馬相手にこそ勝利したことはないが、着順や内容からも匹敵するだけの能力は充分備えていると見て良さそうだ。血統面を見ると父ハービンジャーに、母の父キングカメハメハという血統。今回有馬記念にも出走するブラストワンピースと同じ配合であり、同馬が菊花賞で4着に好走していることからも、モズカッチャンも同様に距離的な不安は少ない。むしろ最近は出足が遅くなっているところがあり、ジリジリと脚を伸ばすタイプになってきているため、距離が伸びるのはプラス材料かもしれない。
中山コースは1戦1勝で、3歳時に500万下で一度走って勝利している。広い東京コース向きと思われがちだが、内枠を活かして器用に立ち回る競馬ができる馬で、器用さがある。要所の反応も良く、馬場も問わない。今の中山でも十分力は発揮できるだろう。
注意したいのは状態面だ。前走のエリザベス女王杯では単に3着だっただけでなく牝馬相手にやや力負けしたという印象がある。この時は発熱で前哨戦を使えなかったので、臨戦態勢が整っていなかったという影響もあった可能性が高い。叩いた2戦目の今回は前走以上のコンディションが期待されるが、この一ヶ月で状態面でどの程度仕上げてきたかが鍵となりそうだ。追い切り内容を見てみると、1週前は坂路で4F52秒3-37秒8-24秒6-12秒3の好タイム。最終追い切りは、4F54秒8-40秒2-25秒7-12秒6とまずまず。現時点ではそこまで割り引く内容ではないが、引き続き注視していきたい。
そして鞍上は引き続き主戦騎手のミルコ・デムーロ騎手だ。秋序盤は人気馬でも勝ちきれない競馬が続いていたが、12月に入ってからはチャレンジC、チャンピオンズC、朝日杯FSと重賞を3連勝中しており、ここに来て復調気配を見せている。先週の朝日杯FSは好位抜け出しの正攻法でアドマイヤマーズを勝利に導き、4度目の朝日杯FS制覇を果たし弾みをつけてきた。2010年ヴィクトワールピサ以来となるグランプリ2勝目を果たせるかに注目だ。
牝馬による有馬記念優勝は過去10年でジェンティルドンナ、ダイワスカーレットの2頭のみ、ブエナビスタも3度失敗した偉業をミルコと成し遂げられるか。人馬ともに注目したい。