絶対王者不在で行われる今週の中山大障害。例年と違いを感じられるのが、競走馬としては高齢に差し掛かった8歳馬が人気を背負っているという点が挙げられます。オジュウチョウサン以外にそう簡単に先着を許すわけには行かないアップトゥデイト、前走イルミネーションジャンプステークスで5馬身逃げ切りとインパクトのある勝ち方を魅せたミヤジタイガ、善戦続きながら重賞制覇まで後一歩至らないルペールノエル、ディープインパクト産駒の障害馬タイセイドリームなど、上位人気馬を8歳馬が占めている状況です。
そして、そんな8歳馬の中でもアップトゥデイトを抑えて最も注目したいのが過去にオジュウチョウサンを負かしたこともある素質馬ニホンピロバロンです。
これまで高田騎手が主戦を務めてきましたが、初のG1挑戦となった前走は白浜騎手が騎乗することとなりました。そして今回は高田騎手がルペールノエル、白浜騎手がアップトゥデイトに騎乗となり鞍上が空いていたところに抜擢されたのがオジュウチョウサンの主戦騎手である石神騎手でした。
オジュウチョウサンの有馬記念参戦、そしてアップトゥデイトの元主戦である林満明騎手の引退が重なったことで巡り巡って縁がつながり、騎手としての連覇へ向けて思わぬビッグチャンスを掴みました。
一昨年は破竹の勢いで連勝を続けてきたニホンピロバロンでしたが、長期休養からの復帰後は2戦して未だ勝ちはありません。しかし、中山の障害コースをこれまでに【2-1-1-0】と馬券を外さない成績を残しており、8歳という年齢ながら長期休養があったため障害転向後はまだ10戦しかしておらず、年齢よりも馬が若いのではないでしょうか。
有馬記念でオジュウチョウサンが馬券圏内に入るようならドバイ、宝塚記念、凱旋門賞というプランを長山オーナーが語っているが、障害に戻ってくる可能性も現状では未知数ながら、オジュウチョウサンがいないにせよ今回紹介した馬たちは来年は9歳ということを考えれば、今年がラストにして最大のチャンスと各陣営が考えていてもおかしくありません。
久しぶりに軸馬の選定に困るG1障害レースとなる今年の中山大障害。順調さこそ欠いているものの、障害馬として持っているセンスはオジュウチョウサンを凌ぐのではないかと個人的に見ているニホンピロバロンをぜひ応援したいと思います。