26日の中山競馬場では古馬中長距離の王道路線へ向けての大事な一戦である日経賞(G2)が開催される。今年は9頭立ての少頭数になったが去年のグランプリ・有馬記念(G1)の1着、2着、4着馬が揃って出走ということで興味深いレースとなりそうだ。
その強豪メンバーに混じって出走する馬の中で今年注目してみたいのがアルバート(牡5 美浦・堀宣行厩舎)。前走は有馬記念で7番人気に支持され、勝ったゴールドアクターから0.6差の11着に敗れている馬である。
1000メートル通過タイムが62.4の流れの中をアルバートは後方2頭目の15番手からレースを進めている。この日の有馬記念はペースを見てもわかるように、かなりのスローの展開となり、後ろの馬には辛い競馬となった。
事実、有馬記念の5着までの掲示板に入った馬たちは道中下がっても6番手以内という位置取りで競馬をしており、3番手にいたゴールドアクターと逃げたキタサンブラックがそれぞれ1着と3着に入線している。サウンズオブアースもマリアライトも先行集団の中の1頭であり、能力は素晴らしいものを持っているが展開の利が多少あったのも事実だろう。
アルバートの魅力は3600メートルのステイヤーズステークス(G2)5馬身差圧勝の時に見せた長丁場でもバテないスタミナにあるような気がする。勝つ時は5馬身差や2馬身半差など非常にインパクトのある勝ち方をする馬である。有馬記念11着というのが本当の実力ではないだろう。
非凡なスタミナというものを生かしてスローになったら自分から積極的に動いていくという気持ちで競馬をしたほうがいいようにも見える。
父のアドマイヤドンは先週、阪神大賞典(G2)でアドマイヤデウスが3着に粘っている。自身は現役時代はダートの王者として走っていたが、産駒は父とは違う一面を持っているという特徴も。
アルバートの母父がダンスインザダークであり、現役時代に菊花賞(G1)で絶望的な位置からの差し切り勝ちを決めている馬である。父としての産駒にはザッツザプレンティやデルタブルース、スリーロールスなど3頭の菊花賞馬がおり、アルバートは母系の影響を強く受け継いでいるような気がする。
父のアドマイヤドンも母系の色というものをジャマしないように産駒に能力を伝えている印象である。阪神大賞典3着のアドマイヤデウスも母方の祖母にステイヤーズステークス(G2)2着などの実績があるアドマイヤラピスがいる。
バテない末脚と確かな底力を武器に、アルバートの2016年が始まる。天皇賞・春(G1)に向けて次につながる競馬ができるかにも注目してみたい今週の日経賞だ。