生産者など競馬関係者の目線からみると大目標はやはりダービー制覇にあるわけで、種付けをする上で3歳クラシックを意識されることが多いとは思いますが、競走生活は3歳で終わるわけではなく大多数の競走馬にとってはその後も続きます。最近では地方のみならず海外への所属変更といった可能性も示され、様々な距離、環境での挑戦ができるようになってきました。
幅広く可能性を受けるという意味で重宝されそうなのが「芝・ダート兼用」の種牡馬と言えそうです。不動のリーディングサイアーの地位を確立したディープインパクトですが、父サンデーサイレンスと比べると芝専用というイメージはあります。ディープインパクトに限らず、現役時代の特性を産駒にもある程度引き継ぐ傾向はあるようで、条件にこだわらず満遍なく得意な競走馬であれば産駒もまたそういった傾向が出てくるのではないでしょうか。
そんな芝・ダート兼用の種牡馬にアジアエクスプレスがなるのではないかと期待をしています。また、アジアエクスプレスが得意としていたのはクラシックディスタンスよりも短いものの、レース数の多いマイル前後であり、手頃な種付け料からコストパフォーマンス面でも生産者からすると有難がられる種牡馬となるのではないでしょうか。
現役時代を振り返ると、2歳のデビュー時期から見せたダート路線での圧倒的なパフォーマンスから全日本2歳優駿を目指すものの、補欠2番手での登録となり出走叶わず、路線変更で出走となった朝日杯FSで見事G1勝利を達成しました。その後はスプリングSで2着、皐月賞にも駒を進め6着など芝でもそこそこの活躍を見せたのですが、もとのダート路線に戻りレパードSも勝利しました。
G1を勝利しているとは言え種牡馬としては重賞2勝というのはインパクトに欠ける戦績かもしれませんが、ダートでの圧勝劇や、芝転向でいきなりのG1制覇が生産者の目に留まったか、昨年は200頭以上の繁殖牝馬を集めました。
父ヘニーヒューズが日本で結果を出してきており、その後継者として支持されたことと、やはり格安に設定された種付け料によるところが大きいのかもしれませんが、栗東出身の種牡馬が活躍する中で美浦出身のアジアエクスプレスがどのような結果を残せるか、来年になる初年度産駒のデビューを期待して待ちたいと思います。