3日の阪神競馬場では、芝2000メートルの古馬中距離重賞・大阪杯(G2)が行われた。馬場状態は良馬場。
大阪杯の前半800メートルは48秒9となり、1000メートル通過タイムは61秒1。この日の8レースの同じ芝2000メートルで行われた、4歳1000万クラスのレースの800メートル通過タイムは46秒9であり、1000メートルは59秒2となった。前半戦だけ見れば、このクラスとしてはかなり緩いペースとなり、前にいた馬に関しては展開も向いた形にはなったのではないだろうか。
全体時計は1000万条件が2:00.5であるのに対し、大阪杯は1:59.3であるから後半はこのクラスの競馬のレベルをしっかりと見せている。特に残り400メートルから200メートルまでの1ハロンは10秒台のラップを刻んでいた。
1着・アンビシャスはスタートしてすぐは後方の位置に落ち着くかと思ったが、1コーナーから2コーナーのところで外を回って2番手のポジションにまで上がってきていた。
スローペースだから馬もややムキになって走っていた印象が見受けられたが、そのような仕草も前半でなんとか収まり、後半は鞍上の意図をしっかりと理解してリラックスして競馬が出来ていた。直線は逃げるキタサンブラックをゴール手前で何とか交わしたという形ではあったが、この勝利で重賞2勝目。ペースが向いたのも勝因のひとつだが、今回は前走の中山記念(G2)と違い先行の競馬で勝てたことが大きな収穫だったと感じる。
この馬の場合は、スタートでやや他の馬に遅れをとることが多いため、前半はどうしても後方からのレースを選択するしかなかったが、この日のようなレースもできれば、今後はペースに合わせて、という競馬も可能になるだろう。
元々、昨年の天皇賞・秋(G1)でも1着・ラブリーデイからコンマ2秒差の5着、今年初戦の中山記念でも同世代の2冠馬・ドゥラメンテ相手にタイム差なしの2着であり、この辺りの中距離は得意とする馬であるから、特に今回の勝利は驚くべきことのほどでもない。
頭を低くして走る独特の走法もアンビシャスの特徴。次走も当然、期待であり注目。
前半1000メートル61秒1のしてやったりのペースを演出したのが、2着のキタサンブラック。鞍上はペース判断に長けているジョッキーだから上手く自分の競馬に持ち込むことができた。折り合いもスタートも問題なし。
このペースでも落ち着いて走れるから、本質的に距離が長いと思われていた菊花賞(G1)も勝つことができたのかもしれない。
展開に恵まれたのは確かだが、道中、余分なことをしないという競馬はもう少し距離が延びてももしかしたら・・・という期待を抱かせてくれた。
この日のように展開面での助けは必要になる馬かもしれないが、操縦しやすいというのは人間側から見ればどんな競馬もできるということであり、この自在性には次走も注目。勝ったアンビシャスと違い、この日は休み明けで上積みも見込めそうである。
3着・ショウナンパンドラは前走のジャパンカップ(G1)1着から4ヶ月の休み明け。道中は5番手でレースを進め、4コーナー手前から積極果敢に池添騎手が攻めていった。着差はコンマ2秒差であるが、展開を考えるとやっぱりこの馬も強い。
直線、インコースの後方から一緒になって伸びてきたラブリーデイを最後はもう一度突き放している。迫力満点の末脚は男馬と間違えるほどたくましい走りである。上がりはメンバー最速の33秒3。叩いた次走に期待。
4着・ラブリーデイも昨年の有馬記念(G1)以来の競馬。
道中は上位3頭よりも、更に後方の7番手のポジションで競馬をしており展開面では最も苦しかった馬である。直線は右によれるような仕草も見受けられ、デムーロ騎手が立て直したが4着までが精一杯。
休養明けが響いた感じの負け方にも見えたが、やっぱりペースもこの日は向かなかった。ラブリーデイの場合は、去年の連戦続きで反動がないかだけが心配であるため、ここを叩いた次走は色々な意味で注目してみたい。
その他の馬たちでは、5着のイスラボニータはこの日のペースではあれが精一杯であり、人気薄のグループでは後方9番手から直線はメンバー中3番目に速い上がりを使ったレッドレイヴンなどはOP~G3クラスであれば十分に上位に食い込めそうな力はあると感じる。
9着のタッチングスピーチは極限の上がり勝負は向いていない可能性がある。自身の今までの最速の上りが33秒9であり、この日は33秒台前半の脚を求められる競馬となった。
前走は泥んこの不良馬場で2着に残っているため、切れる脚はないが長く脚を使えるような展開になれば順番は回ってくるだろう。