【ニュージーランドT2016回顧】コンマ1秒以内に5頭ひしめく大混戦制したのはダンツプリウス

9日の中山競馬場ではNHKマイルカップトライアルのニュージーランドT(G2)が開催された。

上位3着にまでに本番の切符が与えられるこのレース。ニュージーランドTの前半600メートル通過は34秒9、800メートル通過は46秒6という序盤のラップ。

この日、中山で同じ芝マイルのレースがなかったため、あくまでも参考程度にしかならないが、1週前の古馬マイル重賞のダービー卿CT(G3)は600メートル35秒3であり、800メートルは46秒9。全体時計はニュージーランドTが1:33.9であるのに対し、ダービー卿CTは1:32.8。

力関係がクラシックに回った組と比べると少し落ちるグループが集まったレースだからタイムに関しては特にこれで問題なしと感じる。序盤のペースは先週の古馬重賞を上回っていた。

1着・ダンツプリウス

スタートが綺麗に決まると前半は少し折り合いに苦労した部分が見受けられたが、何とか我慢はできたかなという感じ。

2コーナーで8番手、3コーナーで5番手、勝負所の4コーナーでは3番手と徐々にポジションを押し上げての競馬であり非常に楽な手応えで道中は走っていた。直線は先頭に立ってから持ち前の粘り腰を発揮して最後はヒヤヒヤものの1着。もう数メートルゴール板が先だったら着順は変わっていたという印象。

ただ、今回は最後の4コーナーで外に膨れた馬たちと違いダンツプリウスはコーナリングも上手で終始インの経済コースで競馬ができたことも勝因のひとつ。これだけ力関係が拮抗しているメンバーだから、このような細かいことも着順に影響したかもしれない。

何はともあれこれで重賞初制覇。前走のアーリントンカップ(G3)9番人気2着がフロックではないことを証明できた。

この日の舞台・中山1600メートルはジュニアカップ(OP)ですでに勝っていたコースになる。次走の本番・NHKマイルカップは今度は東京のマイル戦となる。

ダンツプリウスの初の東京での競馬ぶりにも注目だ。

2着・ストーミーシー

単勝98.6倍の14番人気での激走。スタートを互角に出た後は後方からの競馬。道中の折り合いは特に問題なしであり、2コーナーでは12番手、3コーナー14番手、4コーナーはシンガリの16番手で直線に入ったが最後の末脚は強烈だった。

他の馬が直線に入る前に仕掛けていく中で、ストーミーシーの鞍上・江田照男騎手はワンテンポ遅らせて最後は大外に持ち出してGOサインを出した。上がりはメンバー最速タイの34秒4。

このレースの前まで5戦1勝の成績であり、使われてきた距離は全て1200メートルだった。1勝馬であるが2着が3回と素質はある馬で初のマイル戦でこの結果はお見事である。

母のリーベストラウムは2歳時にマイルの新潟2歳ステークス(G3)で7着という成績を残しており、500万条件と1000万条件でマイルのレースを勝っている。

父のアドマイヤムーンは軽いスピードを産駒に伝える傾向があり、スプリント重賞2勝のハクサンムーン、京成杯オータムH(G3)を勝ったレオアクティブ、函館2歳ステークス(G3)1着のファインチョイスなどが代表産駒。中には中距離の朝日チャレンジカップ(G3)勝ちのアルキメデスなどもいるが全体的にはスプリント~マイル前後の競馬を得意とする種牡馬となる。

ストーミーシーも血統などを考えるとこの辺りの距離がベストのような気もする。次走にNHKマイルカップを選択するならこの馬も勝ち馬と同様、初の東京がポイントになる。

3着・エクラミレネール

この馬も単勝51.9倍の12番人気で結果をだした。ゲートを綺麗に出た1頭であったが道中は中団のインコースから。直線も最内を追い込んできての競馬だった。距離ロスがない競馬が出来たのも今回の好結果につながったかもしれない。

中山1600メートルは牝馬限定戦の500万条件・菜の花賞で1着、桜花賞トライアル・アネモネステークス(OP)でコンマ1秒差の4着という成績がある。

牝馬限定戦からレベルが上がった今回の競馬での3着は立派。最後は勝ち馬と同じ脚色になったこともあり力は出しきった印象だった。

4着・アストラエンブレム

1番人気に支持されたアストラエンブレム。前走で逃げ切り勝ちを収めた馬が、今回は最後方からの競馬を選択。直線も外から懸命に差を詰めたが、前にいた2頭を交わせず更に後方にいたストーミーシーにも追い抜かれて、というレース。

昨年の新設重賞・サウジアラビアRCで3着やシンザン記念(G3)4着など非常に安定感がある馬であり今回もキッチリと掲示板は確保した。パンチ力がないだけに勝ち切るところまではいかないが、次走もこの堅実性に期待。

その他・総評

その他の馬では6着のハレルヤボーイは、最後のゴール前で大きくジョッキーが立ち上がる不利があった。あれがなければ勝つまではいかなくとももう少し際どい競馬が出来た可能性があるためもったいなかった。上がりはメンバー最速タイであった。この馬も次走はもう一度注目してみたい。

この6着のハレルヤボーイまでが勝ったダンツプリウスからコンマ1秒差以内の競馬をしているため、この日の上位グループがNHKマイルカップに出走してくるようであれば着順が変わる場合もある。

それだけ大混戦模様な3歳マイル戦線だけにちょっとした差で勝ち馬も変わってくるだろう。本番のNHKマイルカップにも注目だ。