まず1つはサンデーサイレンス系に代わり次の時代の日本競馬を担う可能性が極めて高いキングカメハメハ系種牡馬であること。合わせて2つ目となるが質の高い後継馬が揃っているキングカメハメハ系種牡馬の中でも競走馬として現役時代にトップクラスのポテンシャルを示していたことである。
昨年のサイアーランキングは1位が不動のディープインパクト、2位もまた定位置キングカメハメハという並びだったが、注目は次世代の種牡馬7, 8位のロードカナロア・ルーラーシップがわずか2, 3世代の産駒でトップ10入りしたことだろう。
ロードカナロア・ルーラーシップともにキングカメハメハ系の種牡馬である。一方、多くの後継馬を残したサンデーサイレンスだが、孫世代から年間サイアーランキングトップ10入りした種牡馬は現時点では1頭もいない。
昨年12位のキンシャサノキセキや、まだ2世代で13位のオルフェーヴル、これから産駒デビューする種牡馬、特に不動のリーディングサイアーであるディープインパクト系種牡馬の奮起に期待したいところではあるが、サンデーサイレンスがリーディング1位にいながらにして常にリーディング上位にフジキセキなどがいた状況からすると、世代交代が上手くいっていない、キングカメハメハ系に遅れを取っている印象は否めず、すでに挽回は簡単ではないとも思える。
またサンデーサイレンス系はディープインパクトの代表産駒が牝馬であることを筆頭に牝馬の活躍馬が多く質が高いことからも母系での期待が大きく、種牡馬としてはそれらに交配できるキングカメハメハ系が優位な状況にもあると言える。
ドゥラメンテの現役時代のポテンシャルという点も、皐月賞のパフォーマンス、ダービーで獲得したレーティング、負かした相手関係からもその高さを疑う余地はない。
後に2度年度代表馬となるキタサンブラックに1度も先着を許さず対3戦3勝、海外GⅠを勝つリアルスティールやサトノクラウンにも勝ち越している。競走馬としては古馬になり後々立場が逆転していた可能性はあるかもしれないが、鍛えられた後天的なものより元々の素質のような先天的なもののほうが種牡馬としては重要な要素だろうし、キャリアが浅く現役時代に消耗していないのも種牡馬としてはマイナス要素ではないだろう。
また現在の日本競馬において種牡馬に必要な能力は一にも二にもスピード能力であることは、現役時代スプリンターだったロードカナロア産駒が2400mまでこなすことからも明白である。レース数が多い1200m-1600mで勝ち星を量産できるスピード能力と、母系や産駒個体の能力の高さで距離に融通性があるというのが理想的なバランスと言えるが、ドゥラメンテはロードカナロアとルーラーシップの中間距離がベストというイメージが持てる。
余談となるがサンデーサイレンス系のスピード馬と言えば真っ先に思いつくのはサイレンススズカである。もしサイレンススズカがいたならサンデーサイレンス系の状況は現在とは違うものになっていたかもしれないと思ったりもする。
最後に3つめとなるが、ドゥラメンテ自身が近代日本競馬の結晶のような超良血馬ということである。すでに産駒が活躍しているルーラーシップと血統構成が近い点も安心感が持てる。
ただ唯一気になるのは、ロードカナロアやルーラーシップと異なりドゥラメンテ自身がサンデーサイレンスの血を内包していることである。前述した今後の日本競馬の主流となるであろう、サンデーサイレンス系牝馬との配合でサンデーサイレンスの強めのクロスができることがロードカナロアやルーラーシップとの違いになる。もちろんプラスに出る可能性もあるが、それがどう出るのかは気になるところだ。その点以外には不安要素がなく、成功する要素しかない。産駒デビュー前から計算ができる種牡馬だと思える。