今年の新人ジョッキーの中でも異色の存在と言えるのが藤井勘一郎騎手です。韓国G1制覇などアジア各国を渡り歩き結果を残してきた日本人が改めてのデビューということで新人扱いするのも半分失礼にあたる可能性もありますが、今後はこういった事例がトレンドになる可能性もあります。
現在カナダのウッドバイン競馬場を拠点に騎乗している日本人の木村和士騎手は若干19歳にして日本で言えばJRA賞にあたるカナダのソヴリン賞において最優秀見習騎手を受賞しました。日本における競走馬の里とも言える北海道浦河町出身で、JRA競馬学校の騎手課程34期生として合格していたものの退学し、その後はカナダでデビュー。昨年はウッドパークでリーディング5位となる89勝をあげるまでに成長しました。また、木村騎手の受賞した最優秀見習騎手部門では同じく日本人の福元大輔騎手が2位に選出されていました。
海外で騎乗するためには技術はもちろんのこと、現地での生活や文化に慣れることが重要であり、有力な騎乗馬を集めるという意味でもコミュニケーションは大事に違いありません。日本で通年騎乗するルメール、デムーロ両騎手はインタビューなどでも日本語での対応はほぼ当たり前に対応できるまでになっています。英語などよりも漢字、仮名など入り交じる日本語は習得が難しいとも言われる中での両騎手のこれまでの苦労は並大抵のものではなかったと思われます。
グローバル化の進む中で日本へ来る外国人ジョッキーは増加傾向にありますが、更に進んで藤井騎手や木村、福元騎手のような若手騎手の逆輸入といったルートも増えてくるかもしれません。いずれにせよJRA生え抜きにとっては厳しいかもしれませんが、野球やサッカーなどに続きジョッキーも所属や戸籍上の国などを越えて活躍する時代が来たのかもしれません。