今週の土曜日、京都競馬場では2歳重賞デイリー杯2歳ステークスが行われます。マイルチャンピオンシップと同じ条件ということで2歳戦の中でもかなり重要なレースです。ただ、先週の京王杯2歳にはじまり、来週の東京スポーツ2歳、再来週の京都2歳ステークスと2歳重賞が立て続けに配置されているせいもあるのか、例年出走頭数が少なくなる傾向にあり、今年も11頭のみと寂しいところです。
2歳のうちに賞金を稼いでおいてクラシックへの選択肢を広げるという意味では2歳重賞が多い方がいいのでしょうが、トライアルで獲得できる優先出走権は逆に少なくなってきており、デビュー次期につまずいた素質馬などは巻き返しが厳しくなってきています。特に今週は重賞レースがJRAだけでも5開催もあるため重賞レースが不足しているということではないでしょう。少頭数のレースを多くこなすよりも、しっかりと頭数が揃ったレベルの高いレースを経て、クラシックの場で頂上決戦をしてもらったほうが路線が盛り上がるのではないでしょうか。
さて、ということでいつもながら少頭数11頭と残念なデイリー杯2歳ステークスですが、注目したいのは、地方園田競馬場の所属馬エキサイターと吉村騎手です。昨年のハッピーグリン、近年だとコスモバルク、一昔前だとオグリキャップやライデンリーダーのように中央のG1で活躍するような地方馬はなかなか出てこないことが寂しいところですが、久々にその可能性を秘めた馬が園田競馬場から登場してきました。
園田競馬場でデビューしたエキサイターは、以後4連勝、しかもいずれも楽勝というパフォーマンスを見せた後、中央の野路菊ステークスに出走し5頭立ての3着と頑張りました。たった5頭でしたが、中央馬4頭のうち3頭がデビュー戦1番人気だったことからもレベルは決して低くなかった中で、勝馬には離されましたものの2着馬とは0.2秒差ですから、デビュー戦1番人気の馬達に匹敵する素質を見せました。今回のデイリー杯に出走する中央馬10頭のうち、デビュー戦1番人気は4頭のみですから、出走頭数自体は倍以上ですが、レベル的には十分通用する要素はあるでしょう。
血統面を見ても、エキサイターのお父さんベルシャザールはジャパンカップダート勝利の功績を買われての種牡馬入りでしたが、クラシックG1を皆勤したほどの馬でもあり、血統的にも芝適性も見込めます。そしてエキサイター自身が芝2戦目の慣れもあるでしょうし、さらに期待できるのが鞍上の吉村騎手です。
吉村騎手は、現在園田競馬場でのリーディングジョッキーを独走しています。11月7日現在で272勝もしているのです。実数のみならず率で言っても勝率約26%、連対率も約43%という数字は中央競馬場だと、ルメール騎手と近い数字を叩き出しています。中央と地方では勝手が違いますが、かつての安藤勝己騎手や最近だと内田博幸騎手、岩田康誠騎手、戸崎圭太騎手と地方のトップジョッキー達は、中央でしっかりと成績を残しています。吉村騎手もまだ中央競馬場での実績は、そんなにはないですが、今後の活躍は十二分に期待ができるのです。
そんなエキサイターと吉村騎手のコンビが、地方園田競馬場から挑戦してきたのです。園田競馬場の関係者だけでなくファンの人々にとって、エキサイターの活躍は「園田の夢」と言ってもいいでしょう。ということで、デイリー杯2歳ステークスは、「園田の夢」エキサイターと吉村騎手のコンビがここで上位に食い込んで、次のステップへ進んでくれることを期待し応援したいと思っています。