先週、JRAきってのアイドルジョッキー・藤田菜七子騎手がついにコパノキッキングで中央重賞初勝利を果たした。10月には大井競馬場で行われた東京盃をコパノキッキングで制し、交流重賞レースで初勝利を挙げたばかりだったが、同馬で二度の嬉しい記録達成となった。
今年は6月にスウェーデンのブローパーク競馬場で行なわれたウィメンジョッキーズワールドカップで総合優勝を果たし、夏競馬終盤には中央7週連続勝利を決めるなど、目覚ましい成長ぶりを見せている。
先週のコパノキッキングでの騎乗はお見事であったとしか言いようがないだろう。とくに藤田騎手の騎乗で評価したい点は、当たりの柔らかさである。馬とケンカをせずに意思を伝える点においてはレベルが高く、身体能力において他の男性騎手に劣る部分がある分、こうした部分が秀でているのだろう。
レースではスタートも上手く決め、先行馬が32秒前半のハイペースで飛ばす中コパノキッキングも行きたがっていたが、これを上手く抑えて我慢させた。もともとこういう競馬ができるようなタイプの馬ではなかった印象が強かったし、好位からここまで行儀良く競馬ができるようになったのも藤田騎手とコンビを組んだ効果とも言えよう。
とは言え、藤田騎手がここまで騎乗技術が上達したのもコパノキッキングのお陰であるのも事実。馬の能力の高さを考えれば、重賞を勝ったことについてはさほど驚くようなことではないというくらいに、馬が強いのは確かだ。
コパノキッキング×藤田菜七子騎手とのコンビは「年内で解散」と小林オーナーが発表しているが、コンビ継続を願うファンも少なくない。来年もコンビ継続となるのか?それとも別のお手馬が与えられるのか?コパノキッキングとのコンビが続くのかも引き続き注目したいところだが、別の馬はどうだろうか。
現在主戦を務めている2歳馬だと京王杯2歳S・5着のグレイトホーン、3歳だと紫苑S・9着のスパークオブライフやフローラS・16着のヴィエナブロー、古馬ではキクノフェリックス、エピックスターあたりも今後面白くなりそうだが、レベル的には重賞路線ではまだまだといった馬が多い。重賞2勝目や、次なる目標であるG1を獲るなら、新しく割り振られれる馬に期待するしかないだろう。
ただ、先にも述べたように“当たりの柔らかさ”はやはり大きな武器となる。例えば、距離延長を図りたい、最後の直線の勝負まで力を温存しておきたいといったような課題がある馬の場合は、当たりの柔らかい藤田騎手を起用することがプラス効果を生む可能性は高い。こうした藤田騎手の騎手としての特性を買ってくれるオーナーが今後増えてくる可能性も十分あるだろうし、コパノキッキングで重賞を勝利できた経験も大きな糧となる。コパノキッキングとのコンビが継続するなら、G1の舞台でもまた応援する機会があるだろう。何れにせよ、来年の藤田騎手の動向からも目が離せなそうだ。