さあいよいよ2019年の中央競馬の総決算「有馬記念」が始まります。今年はG1馬11頭が出走表明するというハイレベルなメンバー構成となりました。中でもG1・6勝の実績を誇るアーモンドアイの参戦が急遽決定したことで、注目度は一気に上がったとも言えます。
さらに、この有馬記念で引退を表明している馬が今年は6頭も出走してきたことも面白みに拍車をかけてくれています。リスグラシュー、レイデオロ、アルアイン、シュヴァルグラン、アエロリット、クロコスミアといずれもG1戦線で上位に顔を覗かせている馬達ばかりが引退してしまうのは少々残念ですが、ラストランを迎える馬が多数いることで、様々な想いが詰まった有馬記念になったとも言えるでしょう。
かなりハイレベルの馬が集まったものの、正直最強馬アーモンドアイの牙城はかなり堅そうです。あのルメール騎手が「これまで乗ってきた馬の中で一番強い馬」と豪語するほどの馬ですし、戦績を見ればそこまで自信を持って言えるのも納得です。歴戦のG1馬達が集まりはしましたが、さすがにアーモンドアイを負かすと言うのはなかなか難しいと思われます。
それでも、色々な要素を踏まえてアーモンドアイに勝てるチャンスがある馬として注目したいのは、3歳馬のサートゥルナーリアです。
ホープフルS、皐月賞とG1を連勝し、ダービーでも断然の1番人気になった馬ですが、出遅れてしまい4着に敗退。神戸新聞杯を快勝した後、菊花賞ではなく秋の天皇賞に向かい、ここでもスタートで遅れて6着に敗退しました。押して好位から先行しますが、最後は失速し逃げたアエロリットに先着を許す結果となってしまいました。今回舞台は変わって得意の中山、巻き返しは必至と言えそうです。
まず中山競馬場の成績は2戦2勝と好成績で、皐月賞とホープフルステークスといずれもG1での勝利を果たしております。他馬の中山成績を見てみますと、勝利数こそ3勝を挙げているレイデオロに劣りますが、レイデオロは6戦して3勝2着1回なので好走率ベースでは上となりますし、何よりG1の中山で勝利している点は大きな違いです。
今回は中山で目立って実績を残している馬が少なく、中山の勝利実績がある馬はサートゥルナーリア以外だとレイデオロ、スティッフェリオ、フィエールマン、アルアインの4頭のみとなっております。優勝候補の最右翼に目されているアーモンドアイと2番人気が有力なリスグラシューも中山コースは今回が初となります。適性が問われやすい中山コースが初というのが不安要素となる中、すでに大きな実績があるサートゥルナーリアはアドバンテージを有していると言って良いでしょう。
ただ、サートゥルナーリアにも課題はあります。前走の天皇賞秋ではゲートに入る前からテンションが高めで、道中も掛かかるところが見られました。まず“折り合えるかどうか”がこの馬の勝敗を分けると言って良いでしょう。今回は先行馬も多く、そのほとんどが外枠に集中しているのでペースはある程度流れる可能性が高そうですが、サートゥルナーリアにとってはむしろペースがある程度流れた方が入れ込まないですむかもしれません。
さらに今回は、枠番も中々良いところを引けました。枠番は5枠10番で、アーモンドアイが同枠の9番に入るという並びとなりました。後入れ偶数枠ですし、極端な外枠を避けることも出来ましたし、外の動向然り、内のアーモンドアイをマークしながらレースを運べるのは利点となりそうです。
コンビを組むスミヨン騎手とは今回でコンビ2戦目となりますが、前走の天皇賞秋ではスタートで遅れて挟まれて窮屈な中、怯まず内に進路を切って好位内につけるという素晴らしいポジション取りを見せてくれました。日本人騎手では見られない積極性がありますし、勝ちに行く競馬をしてくれる信頼度の高い騎手です。コンビ2戦目でお互いの波長も前走以上に合ってくる可能性は高く、コンビの相性の上積みも見込めます。
ということで今年の有馬記念は、得意の中山で絶好枠を引き、展開面も向きそうでコンビ2戦目の慣れも見込めるサートゥルナーリアから勝負したいと思います。