競馬においては“古豪”という言葉は頻繁に聞かれる言葉ですが、人に対して使われることは少ない言葉でもあります。南関東の鉄人・的場文男騎手などは還暦をこえてもまだまだ現役を続けているのみならずしっかりとタイトルも取っていく活躍ぶりで、中央競馬でも騎手界のレジェンドである武豊騎手も今年51歳を迎え、スポーツ選手としては高齢な部類に入ってきました。
サッカーやラグビーなど自身の体を中心に戦い抜くスポーツと比べると競技寿命は長く、ゴルフのように末永く活躍の出来る分野ではあると思いますが、それでも年齢による衰えというものは少なからずあるでしょう。サッカーではキング・三浦知良選手が久しぶりにJ1の舞台へと帰ってくる2020年。ジョッキーもベテランならではの技と知恵で若手を牽引し圧倒していく勢いを見せてもらえれば更に盛り上がりを見せてくれることでしょう。
そういった意味で注目したいのが、人馬ともにベテランと呼べるデンコウアンジュと柴田善臣騎手のコンビです。今週の土曜、小倉メインレースの愛知杯で久々の重賞勝利を狙います。
柴田騎手といえば若手の頃は柴田政人騎手、岡部幸雄騎手といった一流の騎手の背中を見て育ってきたベテラン騎手ですが先週も勝利を挙げており、JRA所属の現役騎手の中で最年長となります。そして、コンビを組むデンコウアンジュも今年7歳と芝路線ではベテランの域に入る年齢。2歳時のアルテミスステークスで12番人気ながらメジャーエンブレムを抑えたことで名を知らしめた牝馬です。
その後、勝てない期間が長く続いたものの、昨年の福島牝馬ステークスで約3年半ぶりの勝利を果たしました。また、昨年を通して見てもヴィクトリアマイルでは12着と大きく負けたものの牝馬限定のG3であればまだまだ力充分という戦績を残して来ています。
今回の相手関係を見るとエリザベス女王杯で善戦したサラキアやセンテリュオ、アルメリアプルームなどが人気の一角を担いそうな構成ですが、勝ち味に遅いメンバーが揃ったと見られる今年は、デンコウアンジュの追い込みが炸裂する可能性は充分高いと思われます。
外国人騎手全盛の昨今においてJRA生え抜きの若手騎手の育成は一筋縄ではいかないと言われますが、ベテラン騎手が風穴を開けて新たな道を切り開いてくれるのではないかと期待して今回狙ってみたいと思います。