ルメール騎手、デムーロ騎手が2015年に来日してから今年で6年目となります。両騎手の移籍は結果として大成功と言えるものとなり、今では様々な国から短期免許での来日が絶えず、国際色豊かな顔ぶれでの開催が楽しめるようになりました。一方で、権威失墜が囁かれるようになって久しいジャパンカップは昨年ついに外国馬の参戦がなくなり、日本馬だけの開催となってしまいました。そんなジャパンカップの打開策となりうるのか、JRAは今月始めに『国際交流優勝馬に対する褒賞金 』 の増額を発表しました。
外国馬の来日が少なくなった理由としては、創設当初と比べて日本馬のレベルが上がったことで賞金的に旨味の少ないレースになってしまったから、という意見もあります。しかし、他国に目を向ければ、地元馬が強くて賞金額もジャパンカップよりも低いレースでも一流馬の招待に成功している例などもあります。こうした世界の事例を考慮すると、一概に賞金に答えを見出すだけでは今後も海外馬の来日は見込めないのではないでしょうか。
賞金があがれば来日しようと思う陣営が海外にどれだけいるのかは、今年以降の推移を見てみないことにはわからない面もあるでしょう。特に今回見直された褒賞金は指定外国競走の勝ち馬以外にとって無関係のものであり、対象は非常に限定的です。
また、こういった事情の他に海外陣営が日本を敬遠する理由の一つとして日本の厳しい検疫制度も挙げられています。東京競馬場で開催されるジャパンカップに参戦するために、まずは千葉の白井にあるJRA競馬学校で検疫を受けてからでないと東京競馬場へ移動できないのが現状です。千葉から府中ということでそれほど遠くないように感じるかもしれませんが、海外のトップホースを持ち込む陣営からしてみれば長距離輸送直後の二度手間を惜しむ気持ちもわからないでもありません。仮に東京競馬場で直接権益を受けられるようなシステムができるならば、検疫制度の問題については好転の余地がありそうです。
また、ジャパンカップの週に海外馬を使いやすい魅力的なレースが他に無いというのも大きいのではないでしょうか。日本から海外遠征する際にも最近では帯同馬を連れていき、地元の重賞レースに使うといったケースが見られます。G1レースの同日カーニバル開催には消極的なJRAですが、G2, G3をジャパンカップと同日ではないにせよ同じ週に東京で開催するというのも、長距離輸送に踏み切りやすくするための一つの回答となるのではないかと思います。
ジャパンカップの人気回復が成功するかどうかは。中央競馬の威信にも関わってくることです。褒賞金増額の他の手もあるのか、ひとまず見守っていきたいですね。