お手馬だったはずの馬が、他の騎手に乗り替わりになるといったケースは最近では特に多くなりました。師弟関係という言葉自体がやや廃れつつあるのは、古くからの競馬ファンからすると寂しい面もあります。結果として、長く主戦を務めながら自身の手綱では勝ちきれなかった馬が、乗り替わった騎手で連勝続きといったケースも見られるようになりました。
そんな競走馬へ再び自身が騎乗する機会が与えられた場合、果たして元主戦としてはそれぞれどんな心理状態になるのか。競馬を外から見ている人間からは想像もつかないわけですが、そんな乗り替わりが見られるのがフルゲート16頭に登録33頭と大人気レースとなっている、土曜阪神のメインレース・天保山ステークスです。
今回注目したのは母の父にフレンチデピュティがいる点からダート適性を強く受け継いだと思われるロードカナロア産駒のレッドルゼルです。
ここ2戦は川田騎手が騎乗し、いずれも1番人気で連勝と勢いに乗っている馬です。今回川田騎手は先約なのかわかりませんが、デターミネーションに騎乗予定となっており、北村友一騎手に手綱が戻ることになりました。
戦績からは主戦といえるだけの騎乗数がある北村騎手ですが、3勝クラスに入って1番人気2着敗退が2度続いたこともあってか、たまたまローテーションの都合かはわかりませんが、川田騎手に今年の2月から乗り替わりとなりました。
その後は川田騎手で2連勝となっており、特に前走のコーラルSではダート重賞でも結果を残してきている実績馬・サクセスエナジーを下しての勝利ということで、内容も濃いものとなっています。
また今回の舞台の阪神競馬場はこれまで2戦2勝とダートで負けなしの戦績を誇っているだけに、川田騎手としては身体が二つ欲しかったところかもしれませんが、一方で手綱が戻る北村騎手としても「やっぱり川田騎手のほうが合っているのか」と言われることだけは避けたいところではないでしょうか。