騎手は競馬の花形。サラブレッドに乗ってゴールをカッコ良く駆け抜ける姿を見て「騎手になりたい!」と夢見る子供たちもたくさんいることだろう。
ということで、今回は多くの皆さんが気になる競馬の騎手の実態について話したいと思う。そんな中でもまずは特段気になる収入面から説明していこう。
華やかに見えるジョッキーの年収もピンキリ?!
基本的に騎手の収入はレースで、賞金圏内に来た時に5%が進上金として入ってくる。1番賞金の高いジャパンCの場合は、なんと1500万円。ジャパンCの1着賞金は3億円なので、5%の約1500万円が入ってくるという計算だ。たった一回のレースでサラリーマンの年収を楽々上回ってしまう。
まあジャパンCというレースは日本の競馬界の中でも1,2を争うほどレベルの高いレースであるため、優勝するのは容易ではないのだが…。それでもやはり額はバカでかい。この不景気な時代にレース賞金が3億円とはかなりバブリーな話である。日本は他国に比べ段違いに賞金が高い。未勝利戦で1着の場合賞金460万円の5%は23万円。サラリーマンの月収に近い。ある程度騎乗数がある騎手はこれだけで十分食べていけるわけだ。多くの外国人騎手が日本へ来たがっている理由がおわかりいただけただろうか?
国内の騎手の数は現在中央競馬で約130人、地方競馬(ばんえい含む)で約300人ほどが在籍していえる。一言に騎手と言ってもピンキリで、武豊のように年間100勝近く勝つ騎手もいれば、中には年間で2,3勝しか出来ない騎手もいる。こういった勝てない騎手は一体どうやって生計を立てているのだろうか?
こういった騎手のほとんどはレースでの賞金では食べていけないので、とにかく調教をつけるしかない。1回の調教で約3千円の収入を得る事が出来るのだ。5頭つければその日は1万5千円。10頭なら3万円。勝利数が少ない騎手は追い切りが行われる水曜・木曜が勝負の日となる。調教をつけてくれたご褒美でたまに良い馬を回してもらえる時もあるのだが、この恩恵はバカにできない。結果を残せばお手馬に出来るチャンスでもある。勿論、馬主が承諾しなければいけないというのはあるが。騎手は競馬の花形ではあるが、その騎手が乗る競走馬に調教をつけるのもまた騎手で、彼らは縁の下の力持ちとして活躍しているのだ。
一流騎手の稼ぐ額を知れば羨ましいなと思うかもしれないが、これだけ稼ぐには騎乗機会を増やすための日々の営業活動や、減量、トレーニングは欠かせないし、最近はエージェントが馬主や調教師との間に入って仲介してくれようになったが、競馬記者が兼任するエージェントとの付き合いを深めるためにも取材にはなるべく応じたり食事に行ったりなどしなくてはならず、決して楽な世界ではない。
騎手の数は減少傾向に?これからどうなる日本の騎手?
最近は競馬学校への入学者も減っており、卒業しても新人騎手としてデビューするのが数人しかいない。その上そのデビューした数人も騎乗機会に恵まれず、数年後には引退するなんて話はザラにある。騎手の不足の為に、地方騎手の中央移籍を簡単にしたり、外国人騎手を呼び込むといった政策が行われているが、この事が逆に日本人騎手の活躍の機会を奪いますます競馬学校の入学者数を減らし、新人騎手の早期引退にも拍車をかけている。
華やかな表舞台とは裏腹に、複雑に絡み合う人間模様、実力だけでは成功できない世界、騎手界の中での格差など、こういった無数の裏ネタはまるで芸能界のようだ。芸能人との結婚やら浮気やら、噂話になったりするなんてことは今や競馬界のお家芸だし、高年収のリーディング騎手を狙う芸能人も多くいることだろう。
華やかに見える騎手の表世界も実際に騎手になって裏から見ると、全く違った世界が見えてくるのかもしれない。今年は16年ぶりに女性騎手も誕生したことだし、日本の騎手はこれからどのように変わっていくのだろうか?興味は尽きない。