大阪杯、ホープフルステークスとGⅠ格上げに向けて動いているJRA。世界が中距離志向になりつつあるようにも見える中、この流れは必然と言えるのでしょう。
そして、ケンタッキーダービーの枠を日本馬がひとつもらえることになり、ラニの切り開いた道を閉ざさないためにも、3歳ダート路線の充実も課題となりました。
今後は地方競馬と併せてダート路線も充実度を増していき、競馬界の更なる発展に繋がっていくでしょう。
その一方で、ほぼ放置になっているのが障害レースです。GⅠの開催は春と冬に一度ずつ、しかも両方中山コース。障害には、大阪杯のGⅠ格上げの理由のひとつともいわれる「中距離馬の海外遠征での流出」が、特にないことが原因でしょうか。
2005-2007年の中山グランドジャンプをオーストラリアのカラジが3連覇など、海外から日本に参戦というケースはありますが、逆が非常に少ない。
障害の本場イギリスには日本と比較にならないくらい障害レースが充実しています。頭数がそろうこともあり、見ごたえもかなりありますが、日本馬が出走するには、賞金を考えると遠征費用が高く付きすぎるのかもしれません。
障害馬の分母が少ないことも有り、年2回のGⅠがあれば充分という判断になってしまうのかもしれません。それでも、障害レースを観戦する方から言わせてもらえれば、芝やダートに負けない面白みがあり、芝で通用しないからダート、それもだめなら障害といった、三軍扱いのような文化を変えて行く必要があるのではないでしょうか。
今のレース体系のまま出走馬が充実してからレースを増やすというのは、まずありえないでしょう。改革を促すためにはまず、JRAがリスクを取り新たなレールを敷いていかなければいけませんが・・・
3つ目のGⅠとして時期的に谷間にあたる宝塚記念の同日あたりに組んでみてはどうか。例えばハンデ戦のGⅠになれば、強い馬が出てきても頭数もそろって盛り上がるのではないでしょうか。アメリカでは数多くのハンデキャップGⅠが開催されていますが、日本でのハンデキャップ競走はGⅡで3本、GⅠは開催がありません。障害でハンデキャップ競走のGⅠ開催となれば、話題性もあり売上も伸びるかもしれません。
あるいは年二回をキープするのであれば、中山大障害を東京のジャパンカップの同日にずらして「ジャパンカップジャンプ」などと銘打ってやってみる。日本における障害のローテーションに選択肢などほとんどないため、実際は中山大障害・中山グランドジャンプが大目標とならざるを得ませんが、「ジャパンカップ」を冠してあげることで、更なる盛り上がりがあるかもしれません。
今年の中山グランドジャンプの売上は約15億48百万。同日12Rの利根川特別(ダ・4歳上1000万下)が約12億74百万円、翌日の皐月賞が約193億83百万円ということを考えると、障害レースだからという理由だけではすまない格差を感じざるを得ません。
ワールドスーパージョッキーズシリーズが札幌に舞台を変えて二年になりますがどちらも大盛況といえる結果。障害にも変革を願うのは、海外競馬の馬券発売など手一杯と思われるJRAさんには酷な頼みになるんでしょうか?人手も予算も必要な話だとは思いますが、何らかの施策で、障害路線の盛り上がりも見たいものですね。