調教師や関係者は各競走馬の定める大目標に向けてピークをどのように作っていくか、そのためのレース選択を逆算していくことなども仕事の一つとなりますが、トライアルレースで権利獲得圏内に入れなかったり、思うように収得賞金が積めなかったときなど、想定していたローテーションが崩れてしまうというケースもままあることでしょう。
2歳時から早々に収得賞金を加算出来ている陣営は春のクラシック路線に向けてぶっつけ本番で挑むという選択も近年はトレンド化していますが、年明け時点で1勝馬となると、その余裕もなくなるだけに、是が非でも権利獲得のための道筋を作りたいという思いもあるのではないでしょうか。
前走なんとか勝っておきたかったディープインパクト産駒・ディープモンスターもそんな一頭です。栗東・池江厩舎の管理馬でデビュー戦から武豊騎手が手綱を取っています。
デビュー予定だった昨年8月には放馬による疲労の影響を受けて競走除外となり、改めて迎えたデビューは10月末の新馬戦となってしまいました。仕切り直したデビュー戦では3番手から抜け出す競馬で勝利を飾りましたが、デビュー時期が2ヶ月ずれる手痛いスタート。
そして続く前走のエリカ賞では1番人気の支持を受け、5番手追走からゴール前で勝ち馬アドマイヤハダルに迫ったものの2着敗退となっており、年が明けて3歳となった現段階で1勝クラスとなっており、春のクラシックを目指すなら賞金加算やトライアルでの好成績が必須となっています。
今回ディープモンスターを狙う上で頼もしい後押しとなるのが、このレースと相性がいい武豊騎手の存在で、2018年のメイショウテッコン、2019年のサトノラディウスと2勝を挙げています。
前走敗退したとはいえ好走を見せており、今回も再度上位人気が予想されます。過去5年のデータを見ると2016年のミッキーロケット、2018年のエタリオウなど2着馬がその後出世するケースが多く見られるのが特徴のレースですが、2着では収得賞金加算とならず、今度こそ勝利で決めたい一戦となります。
とはいえこの時期の3歳馬の背負う事情は似たりよったりということで、各陣営とも1着が至上命題といえるレースでもあります。登録9頭と少ない頭数での開催となりそうですが、騎乗する騎手たちのかけひきも含め、楽しみにしたいレースの1つですね。