雨が降ったり寒くなったと思ったらいきなり暑くなったりで、なんとも体調管理が難しい今日このごろです。天候は競馬とは切っても切れない情報でもあります。予想する側からしても、おそらく走る馬からしても、天候次第で左右されてしまう馬場状態というのはやはり気になります。そして、持ち時計という言葉が競馬界にはあります。
「勝つには勝ったけど、時計が遅いからたいしたことない」。こんなフレーズ、よく聞きませんか?確かに、ディープインパクトなどを見ていて競馬は速い馬が勝つんだな、とは思ったものですが、実は競馬は本質的にはそうではない。タイムが速いか遅いかよりは「他のどの馬よりも早く」ゴールすればいいのです。
それを実証したのが先々週デビューしたリナーテです。父ステイゴールド・母マルペンサの牝馬で、栗東・須貝厩舎の管理馬。兄には今週菊花賞出走のサトノダイヤモンドがいます。
当然この血統背景からも1番人気に支持されました。デビューは京都の芝1600m。鞍上は川田騎手でした。レースは逃げた14番人気ダンツストークをやっとこさ捕まえて半馬身差での1着ゴール。そして良馬場発表で1:38.0は2歳牝馬ということを差し引いても遅さが際立つ時計。まして京都は開幕週でまだ3日目でした。
ですが、デビュー戦の持ち時計が遅いのは何も器の大きさには関係がないのを立証した馬がいます。もっとすごい時計で新馬戦を勝ち、後にGⅠを制覇したメジロブライトです。
6頭立てという少頭数になった函館競馬場の新馬戦で2:01.6という時計でなんと最低人気で勝ち上がっています。ちなみにこの時計は2000mじゃなく1800mでのもの。馬場も良馬場発表。同距離ではなく恐縮ですが、洋芝であったことを考慮しても、あまりにも遅い時計です。それでも、メジロブライトの引退までの軌跡を見ればわかるように「名馬=持ち時計が速い馬」ではないことは証明しています。
環境や整備状況により時計は刻々と変わるもの。早いほうが話題にもなりますし、遅ければ実力を不安視されてしまうところではありますが、遅走の先輩メジロブライト級かどうか、自走は未定ですが楽しみに追いかけてみたいと思います。