昨年の覇者のモーリスが天皇賞(秋)を選択したことで混戦、群雄割拠といわれる2016年マイルチャンピオンシップ。大横綱・モーリスが不在となり、鬼のいぬ間に各陣営が虎視眈々とGⅠウィナーの座を狙っているが、そこへ王手をかけているのがサトノアラジンだ。
ここにきて充実一途のサトノアラジン。昨年のマイルCSでは4着。今年に入り、休み明けの影響があったダービー卿CTは3着と一息も、京王杯SCでは、中団から、上がり32.4秒の豪脚一閃で快勝。続く安田記念は流れに乗れず4着。放牧を挟んで、スワンSでは後方一気をここも上がり33.6秒の豪脚で余裕をもって差し切った。
サトノアラジンは元々クラシック路線を戦っていたが、4歳になってから距離をマイルに変更したことで才能開花。マイル以下の距離では馬券圏内率75%で、マイル戦線の中心へと躍り出た。しかし、不安要素となるのはその1600mという距離。安田記念4着は悪くない成績ではあるが、勝ちきれなかったのは1600mが少し長いからではないかという向きもある。
確かに今年の重賞2勝はいずれも1400mなので、ベストな距離はこっちなのかもしれない。また、前走は強い競馬だったものの、2着や3着など勝ちきれないレースが多いということも不安要素ではある。
しかし、今年はかなりの混戦ムード。隙を見せればあっという間にやられてしまう。他の陣営も指をくわえて見ているわけではない。ここがGⅠ馬になる千載一遇のチャンスなのは他の陣営に取っても同じこと。今回はサトノアラジンへのマークが相当厳しくなる事が予想される。
出来れば馬群の中には入れたくない。馬群に飲まれて進路が無くなればどれだけ立派な末脚も万事休す。そうならない為には、多少の距離ロスは覚悟の上で、外を回さなくてはいけない。マークされてしまう人気馬の宿命とも言えるが、歴史に名を刻むような名馬たちはその壁を乗り越えてきた。後はサトノアラジンの豪快な末脚が炸裂すればGⅠタイトルは見えてくる。
ただ、モーリスがいない今年のマイルCSならばベストから200m長い距離も魔法の絨毯にのったアラジンのように先頭を切って駆け抜けてくれることを期待してしまう。